内容説明
生活保護217万人。貧困拡大社会の最前線。児童養護施設出身者、薬物依存者、高齢犯罪者、外国人、ホームレス。社会から排除された人たちの支援の現場を歩く。
目次
第1章 児童養護施設出身者
第2章 高齢犯罪者
第3章 薬物依存者
第4章 外国人貧困者
第5章 ホームレス・孤立高齢者
第6章 生活保護から見えるもの
著者等紹介
大山典宏[オオヤマノリヒロ]
1974年埼玉県生まれ。埼玉県職員。立命館大学大学院政策科学研究科、日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科(専門職大学院)修了。福祉事務所の生活保護ケースワーカー、児童相談所の児童福祉司などの現場経験ののち、県庁の社会福祉課で生活保護受給者の自立支援事業の企画運営に携わる。内閣府子ども貧困対策に関する検討会構成員(オブザーバー)、日本社会事業大学非常勤講師など、貧困問題の専門家として幅広い活動を続けている。社会福祉士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
35
1児童養護施設出身者、2高齢犯罪者、3薬物依存者、4外国人貧困者、5ホームレス・孤立高齢者の事例とデータから現在の生活保護を取り上げたノンフィクション。…「こういう話は聞きたくない」とよく言われるが、「いつか自分がそうなるかもしれない不安」「自分とは関係ない世界」「自分個人にはどうしようもない分野」との思いがあるのかもしれません。「そうなりたくない」「まだ自分の方がまし」と比較するのではなく、ただ、そういう人が身近にいること、自分の住んでいる社会の現実として、批判・比較せずに知って欲しい内容だと思います。2014/07/27
壱萬参仟縁
34
死ななきゃいい(57頁~)。清瀬市自立援助ホームあすなろ荘ホーム長の恒松大輔氏(51頁)。というのも、ホームの子が飛び降り自殺。首吊り自殺も珍しくないとのこと。25歳男性は誕生日の婚約した幸せのピークで自殺したという。居た堪れない。低学歴で仕事見つからず。生活困窮、盗みに無銭飲食。刑務所入退所繰り返す姿がある(86頁~)。著者は、生活保護を炭鉱のカナリアと称する(234頁)。炭鉱内先頭行くものはカナリアの入った鳥籠をぶら下げたことから。昨日よくても今日よい保証なし。社会におけるカナリア=生活保護制度。2016/02/18
おかむら
18
河本の母親の件で一時流行った生活保護バッシング、あの時は多くの人がそれなりに関心を持ったであろうけど普段はなかなか生活保護のことなんて考えないわ。この本は受給者の中でも特に重い背景をもつ方々へのインタビュールポ。見えない、見たくない貧困の実態。NHKで深キョンがやったドラマ「サイレントプア」をよりさらに踏み込んだ内容で色々考えさせられたわ。よく知らんのにバッシングとかしちゃああかんよ。2014/09/04
kotte
16
生活保護受給に対する社会の厳しい目を改善するには本書のような本が広く読まれる必要があるでしょう。掲載されている事例を見ると、生活保護受給に至る経緯は様々ですが、どのケースも生活保護を受給していなければ生命の危機もあり得るようなものです。厳しい世論の中でも生活保護受給者の方のために頑張っているケースワーカーの皆様、本当にお疲れさまです。2017/08/12
肉尊
15
最後のセイフティーネットと呼ばれる生活保護だが、著者は「炭鉱のカナリア」と表現している。先頭の炭鉱夫が有毒ガスに敏感なカナリアを連れていたことから、社会における皺寄せが貧困層において生じやすいという譬えである。貧困は経済不況や家庭環境、承認欲求など様々な原因が考えられるが、貧困=犯罪に直結すると本人も家族も社会にとっても、いたたまれなさしか生まれない。更生施設や支援団体の充実も必要だが、排除ではなく多様性(ダイバーシティ)として、誰もが必要とされているかけがえのない存在であることを感じられる世でありたい。2021/01/14