内容説明
エコノミストと時代劇研究家が「江戸経済」と「時代劇」から“今”を照らす。
目次
第1章 不思議な江戸幕府の誕生(対談 徳川家康が天下を取れた理由;飯田の経済談議―「江戸時代」という経済システム ほか)
第2章 戦わぬ“武士”の矛盾(対談 「元禄」という時代と「赤穂事件」;飯田の経済談義―幕府財政を支えた「成長通貨」の発明 ほか)
第3章 江戸の繁栄と終わりの始まり(対談 吉宗を名君たらしめるもの;飯田の経済談議―「介入派」の正義と「放任派」の理想 ほか)
第4章 江戸260年の天寿(対談 革命の条件が揃ったとき;飯田の経済談議―進みすぎていた江戸の貨幣制度 ほか)
著者等紹介
飯田泰之[イイダヤスユキ]
1975年、東京都生まれ。エコノミスト、明治大学政治経済学部准教授。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学
春日太一[カスガタイチ]
1977年、東京都生まれ。映画史・時代劇研究家。日本大学大学院博士後期課程修了(芸術学博士)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
95
経済学と時代劇の専門家が、それぞれの立場から対談や論評で江戸時代の真実を探っていく。鎖国や藩札の財政政策的現実から見た再評価や、忠臣蔵や大河ドラマによる日本人の歴史意識形成のプロセスは初耳だが面白い。元禄や文化文政の放任経済で繁栄した一方、国学とした儒学の理想を本気で実行した寛政や天保の改革が出てくるなど経済思想が分裂していた状況が理解できる。特に開国後の万延小判発行がインフレをもたらし、幕府的秩序が見放される契機になったとは司馬遼太郎でも思いつかなかった視点だ。革命は経済混乱が引き起こすのだと痛感する。2021/12/15
えちぜんや よーた
91
徳川家康は「苦労人」か「田舎者」か「たぬきオヤジ」かの論争w 個人的には「田舎者」説を支持する。あと加えていうならば「小心者」説も通ると思う。2014年「軍師官兵衛」の家康さんは野心むき出しの「腹黒いたぬきオヤジ」であったが2016年「真田丸」と2017年「おんな城主直虎」の家康さんは「田舎者」かつ「小心者」。戦の采配は確かに上手いけど、生き残るために仕方なくやっているという感じ。本人としたら天下人どころか三河と遠江をゲットできたら「御の字」で一生2か国の大名であればそれだけでラッキーと思っていたのでは?2017/10/10
国士舘大学そっくりおじさん・寺
58
面白い。これは江戸時代がよくわかる。経済学部教授のエコノミスト・飯田泰之と、『時代劇はなぜ滅びるのか』の映画史&時代劇研究家・春日太一による徳川三百年。二人は高校の先輩後輩だそうだ。徳川家康、忠臣蔵、徳川吉宗、幕末という4つの章を対談とそれぞれの各論で。春日太一はわかるが、飯田泰之が日本史に詳しいのにびっくり(まあ飯田泰之をよく知らないのだが)。飯田の経済で見る江戸時代は新鮮。春日の時代劇や歴史小説で見る江戸時代も共感しきり。最後の司馬遼太郎の幕末小説論はまさにその通りだと思う。お勧め。2015/07/22
kenitirokikuti
16
図書館にて。2014年刊行。昭和50年代前半生まれのエコノミストと映画史・時代劇研究家という〈不思議な組み合わせのふたりによる〉本である(あとがき相当の部分から)。2人は新宿の海城高校の先輩後輩だそうな。同高は小谷野敦の出身校だ。三者とも同校への評価が低い…。まぁ、80年代後半の都心の高校生は特にそう感じる要素が強いかも。ただ三者ともNHK大河など時代ものTVドラマや映画への評価が高い。やっぱ東京だからかな? いま橋本治展を見て来た帰りだから特にそう感じる。2024/06/02
くさてる
15
不思議な組み合わせのお二人ながら、それぞれの専門分野から江戸時代を語ってみせた内容は、とても面白い。時代劇にも時代小説にも経済にもそこまで詳しくないわたしでも、歴史と経済、時代劇から切り取る江戸という時代という視点は分かりやすいもので、楽しく読むことが出来ました。2015/05/27