内容説明
イザベルが死んだ。彼女は家族から離れ、オーストリアのインスブルックでピアノを学んでいた。心不全だったという。妹の死に不可解なものを感じたヴェラは、真実を突き止めるべく、ミュンヘンからインスブルックに居を移し独自の調査を開始する。時を同じくして、切断された腕だけが発見されるという猟奇殺人が当地で発生した。チロル州警察首席捜査官のハイゼンベルクが捜査に当たるが、事件はやがて連続殺人の様相を呈していく…。オーストリアの俊英が古都の闇を描き出す鮮烈なデビュー作。
著者等紹介
アヴァンツィーニ,レーナ[アヴァンツィーニ,レーナ] [Avanzini,Lena]
1964年オーストリア・インスブルック生まれ。ミュージシャン、また音楽教師として活動する傍ら、2007年ごろから小説を書き始め、2012年、その年の最高のデビュー作に与えられるフリードリヒ・グラウザー賞新人賞を『インスブルック葬送曲』にて受賞。ミステリーのほかに、子供向けの小説も手がける
小津薫[オズカオル]
同志社女子大学英米文学科卒、ミュンヘン大学美術史学科中退、英米・独文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
本木英朗
15
オーストリアの新鋭、レ―ヴアヴァンツィーニが贈る新鋭のサイコミステリー。俺は2013年12月に一度買って読んでいた。その時は、まさにサイコミステリーの一本と呼ぶべきものだと思った。しかし2回目となるこの作品、今度は途中でもう何が何だか分からなくなってしまって、最後はもうわけが分からなかったぞ、うん。これはやはり今の俺にはちょっとレベルが高いという他ない。解説の酒井貞道についても、やはり1回目に比べると2回目は何だか分からなかったのでなあ、うん。また近いうちに3回目を読むか。2019/06/27
tom
7
ピアノの演奏場面は、なかなかのもの。これがあったから、最後まで読むことができた。でも、ミステリーとして読むなら、かなりのいい加減さ。猟奇趣味とロリータ趣味、なにやらかにやらごちゃ混ぜにして、無理矢理ミステリーに仕立て上げた代物。翻訳するのも辛かっただろう。翻訳者にちょっと同情してしまった。2014/07/08
ワッピー
2
突然の妹の死に納得しきれないヴェラは、親の反対を振り切り、謎を解明すべくインスブルックに居を移し、探りを入れ始める。おりしもバラバラ死体が発見され、警察の捜査はヴェラの進路と交差し始める・・直情型で後先の考えのないヴェラの不器用な調査はスペンサーを思わせますが、医学から足を洗って声楽に移行したり、恋に身を任せたりと成長も迷いもあり、目が離せません。怪しげなキャラや匿名のモノローグにワッピーもすっかり騙されましたが、基本に立ち返れば死体の切断をするのは☓☓な〇〇ということか・・・それにしても芸術ってコワい。2014/01/04
spica
0
オーストリア音楽アカデミーを舞台に、妹の死の謎を探る主人公。サイコサスペンス+刑事小説。死体の描写が生々しい。主人公が突拍子なさすぎな気がする。勢いのある展開だった。2014/03/18
一柳すず子
0
ヴェラ、すぐ怒りすぎだよ…犯人の動機はサイコキラーものではよくある心理だけど、設定はちょっと珍しいかな。途中でなんとなくわかっちゃうけどわかりやすく怪しい人物も出てくるし結局どうなるんだろうと思って一気読みでした。美しい演奏は、醜い人間の性やおぞましい屍体とは対照的ながら、すぐそばにある。2014/05/28