文学の器―現代作家と語る昭和文学の光芒

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  • サイズ B6判/ページ数 423p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784594060152
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0095

内容説明

平成の書店を埋める数多の文庫本の巨大な壁から、“必読”の二十余冊を選んだ、第一線作家との真率且つ味わい深き語らいの妙。

目次

伊藤整「変容」―老いと性と文学(石原慎太郎;福田和也)
色川武大「百」―魂の還る場所、その虚無と救済(長部日出雄;坪内祐三)
小林秀雄から「批評」を考える―「明晰」と「断念」のあいだ(福田和也)
川端康成「雪国」―インヒューマンな近代の体現者(古井由吉;福田和也)
深沢七郎「楢山節考」―無への蛇行者の空前絶後(嵐山光三郎;坪内祐三)
三島由紀夫「豊饒の海」―絢爛たる美の逆説(石原慎太郎;福田和也)
与謝野晶子「みだれ髪」―昭和まで続いた「私」という感情の濃度(高樹のぶ子;福田和也)
織田作之助「世相」―「生」の蕩尽への同意(青山光二;福田和也)
開高健「夏の闇」―内側と外側の秘密(黒井千次;坪内祐三)
永井龍男「青梅雨」「秋」―小説を生かす虚点と実点(東谷長吉;坪内祐三)
江藤淳「成熟と喪失」―批評家の欣喜と苦痛(古井由吉;福田和也)
野口冨士男「わが荷風」「かくてありけり」―私小説という装置の仕組み(佐伯一麦;坪内祐三)
後藤明生「挟み撃ち」―と私小説の浮遊感覚(島田雅彦;坪内祐三)
坂口安吾「風と光と二十の私と」―奔流するエッセイの零度の場所(中島一夫;福田和也)
谷崎潤一郎「鍵」「癇癪老人日記」―企まれた虚実の摩擦(小林信彦;宮本徳蔵)
太宰治「斜陽」―巧緻の現代性について(江國香織;柳美里)
幸田文「流れる」―過剰な視線・野生の奔流(角田光代;坪内祐三)
中原中也「全詩歌集」―陥没の場所で聴く世界の響き(秋山駿;吉増剛造)
昭和から平成への文学の変位(坪内祐三;福田和也)

著者等紹介

坂本忠雄[サカモトタダオ]
1935年山口県下関市生まれ。東京都立新宿高等学校を経て、慶應義塾大学文学部独文科卒業。’59年4月に新潮社に入社、文芸誌『新潮』編集部に配属される。’81年編集長就任。以後14年間一貫して同職を務める。『新潮』では川端康成、小林秀雄、大岡昇平、安岡章太郎、開高健、石原慎太郎、大江健三郎、江藤淳他、多数の作家を担当。’98年顧問を経て同社を退社。『三田文学』新人賞選考委員、開高健記念会会長を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

奥澤啓

26
アマゾンの紹介文。「巷に溢れる小説の渦から、選び読み進めるために、最適で正統な「文学」指南書。100年以上続く文芸誌『新潮』にて14年以上編集長を務めた名編集者坂本忠雄氏が、メインホストとなっておくる文芸鼎談集。現在も手にとれる文庫で、かつ近現代の日本文学にかかせない大御所作家18名の作品を、第一線で活躍する作家らと共に、その醍醐味を語り合う。サブホストには文芸評論家で、文芸誌『en-taxi』同人の坪内祐三と福田和也。文学を志す者、また文芸愛読者必読の書です」とあるその通り。「文学を信じる人」への良書。2019/04/07

奥澤啓

22
本書を手にしたのは著者が開高の『夏の闇』の担当編集者だからだ。坂本氏は開高の代表作の創作現場に立ち会ったのだ。当初百枚程を書いたものの「開高さん、これでは、途中で書けなくなりますよ。もう一偏、もう少し油を敷いて少し動かしたら……」と進言すると開高は受け入れたところ順調に進んだという。本書では黒井千次と坪内祐三との対談が収録される。「開高健「夏の闇」-内側と外側の秘密」。大江と石原と違い開高は旧制高校的教養の持主であったこと、坪内氏の「この小説は1968年」だとする指摘は興味深いし、成立の背景をよく物語る。2019/04/08

麻嶋 修 司法書士

0
エンタクシー連載時に読んでいたが、まとめて読みたくて購入。紹介されている文庫を順次読んで行きたいが、現時点では入手困難になっているもの(伊藤整とか)が割りとある。古本屋で探してみよう。2015/03/27

satohachi

0
この本の感想とは別の話だが、坂口安吾のGHQ不許可エッセイ「特攻隊に捧ぐ」は、新たに発掘されて時間を置かずに新潮文庫(『堕落論』)に所収されてたのね。当時は、筑摩の全集以外に読めないと思って、高いカネはたいたのだが……(泣)。2010/03/30

みつひめ

0
またまた、読みたい本が増えた…。2009/09/27

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