内容説明
9.11テロの傷痕残るニューヨーク。街では閉店間際のバーを狙った武装強盗が相次いでいた。バーテンダーのクレアは、恋に破れた哀しみを胸に抱えつつ今日も店に出る。自分を待ちうける運命も知らず…。未練を残して別れた恋人たちを襲う悪夢を描く、ブラム・ストーカー賞受賞の表題作をはじめ、意想外の結末へと読者を導く怒涛のサスペンス「ヒッチハイク」、傑作ノワール・ウエスタン「川を渡って」等、ケッチャム文学の最高峰を示す中篇四本を厳選して収録。加速する狂気に貴方はついていけるか。
著者等紹介
ケッチャム,ジャック[ケッチャム,ジャック][Ketchum,Jack]
俳優、教師、出版エージェントなどの職業を経て80年に『オフシーズン』で作家デビュー。本名ダラス・メイヤー
金子浩[カネコヒロシ]
1958年生まれ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
78
何故ケッチャムを読みたくなってしまうのか。過剰な欲望や残虐な暴力行為に溢れ、嫌ぁな気分にさせられる物語は救いの無い話も多く、身の毛もよだつ様な災難に見舞われた登場人物達の痛みや哀しみは想像するだに耐え難い。何を好きこのんでこんな話を読んでしまうのか、あれこれ考えてしまいます。収められた四編はそれぞれ違う味わいにもなっていて、そんなあれこれを考えるには最良の短編集だと思いました。2020/03/27
*maru*
47
ケッチャム6冊目。溢れる狂気、壊される肉体や精神。物語の登場人物を痛めつけるだけでなく、徐々に読者の心にダメージを与えるこの筆致、本当に嫌らしくて素晴らしくて困っちゃう。男性の欲望や女性のしたたかさもリアルすぎて引くレベル。まさに悪夢の『閉店時間』。ゾッとする『ヒッチハイク』。最高に胸糞悪い『雑草』。そしてラストのケッチャム・ウエスタン『川を渡って』がベスト。最後全部持ってかれたー、ハートとマザーに。ケッチャム未経験の方にはまず『老人と犬』あたりをおすすめするが、経験済みの方は本書もぜひ。2019/11/09
あたびー
37
ケッチャムの作品は読者の精神力を削ぎます💦中編が4話収録されています。9.11の後に書かれた表題作は、作者が感じた無常感を色濃く反映しています。どんどん自体が悪い方向へ進む「ヒッチハイク」や、無謀にも少人数で悪人に立ち向かう西部劇「川を渡って」は、最終的に悪を壊滅させるのでまだ救いがありますが、作者が「これまでに書いたうちでもっとも不快な作品」と述べる「雑草」は、本当に読んでいて辛かったです。しかしながら、会話と地の文の絶妙なバランスなど物書きとしては勉強になる部分も多く、類まれなる才能に感嘆します。2025/02/07
ω
35
ケッチャムを読み漁ってから5年くらい経ったか…? グロ要素は少なめ(これで?w)だけど確かに脚本っぽいとゆーかドラマっぽくてワクドキ。中編もイケるー⭐︎2024/12/15
ペグ
21
表題作の(閉店時間)ラストシーンが美しくて好き。ウエスタン(川を渡って)は男の矜持と命をかけた優しさが胸を打ちます。一番好きかも。それにしてもここまで暴力を描くケッチャムに興味が湧きます。キリスト教と関係ある?2015/08/30