内容説明
親友の奇妙な投身死。その謎を解く鍵を与えてくれたのは、デアの母親の持つ特殊な能力―動物とコミュニケーションをとる力だった。真相に近づくにつれ、さらに謎は謎を呼び、事態は混迷の度を深めてゆく。一方、ついにデアの恐れていた日がやってきた。夫のペイトンに双子の妹についての嘘がばれたのだ。自分の前から去ろうとする夫。そんなとき、真犯人の魔手がデアへと迫る…。舞台関係者を巻き込む怪事件を背景に、喪われた絆の回復と傷ついた魂の解放を細やかな筆力で描きだす問題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アカツキ
15
デアは夫ペイトンに出会った日から8年間つき続けていた嘘を告白すると、ペイトンはショックを受けて家を出て行ってしまう。その後、クレイグの追悼会の準備をしていた舞台芸術監督ゲイルが突然失踪して…。嘘やあえて話さなかったことで関係が壊れ、本当ところから築き直していこうとする再生の物語。アニマルコミュニケーターや輪廻転生の話があったりしてスピリチュアル要素がやや強めで人を選ぶ感はあるけれど、事件が急展開を見せるスリリングな一幕があり、ドラマがしっかりしていて面白かった。2020/06/10
すけきよ
1
どんなに親しい人でも、隠し事や嘘はあり、それらとどうやって向き合っていくかというコミュニケーションと、真実を知った後の再生の物語。でも、サスペンスとしてもよくできていて、読者も犯人に気づけるよう、伏線の張り方もフェアだと思う。動物とテレパシーできるからと言って、動物探偵でもなく、世間を揺るがすような大事件が起きるわけでもないけど、それぞれの隠しておきたかった事実を明かさざるを得なくなっていく課程はドキドキするし、リーダビリティをすこぶるよろしい。ペットたちもかわいく描かれていて、動物好きにもオススメかな。2008/04/03