内容説明
16歳で母を撲殺し、「また人を殺すかもしれない」と口にしていた山地悠紀夫。浪速区のマンション4階に侵入、帰宅してきた見ず知らずの姉妹を刺殺し、証拠隠滅のために、放火して逃走…「野獣」を放置させた少年院や保護観察所の責任は?殺されずに済んだはずの姉妹の両親の立場と心情は。
目次
第1章 タバコをふかしながら姉妹を殺戮
第2章 初公判
第3章 隔靴掻痒の被告人質問
第4章 スピード審理
第5章 精神病なのか
第6章 見せぬ内面、高きプライド
第7章 死刑判決、控訴、そして…
第8章 野に放たれていた狂犬
第9章 つつましき家族
著者等紹介
粟野仁雄[アワノマサオ]
ジャーナリスト。昭和31(1956)年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部西洋史学科卒業。ミノルタカメラ(現コニカミノルタ)を経て、昭和57(1982)年から平成13(2001)年まで共同通信社記者。翌年からフリーランスとなる。現場と当事者取材第一をモットーに社会問題を中心に幅広いテーマで週刊誌、月刊誌などに執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みゃーこ
52
「被告人の行動原理に、広汎性発達障害ありはその疑いという症状が影響しているのではないか、」等々、アスペルガーの疑いがあったかどかが争点となり刑法39条を持ち出すが理由にならないと思った。むしろ、こんなケースで持ち出された広汎性発達障害者への侮辱になりかねない。個別に彼が心を閉ざした原因についてをもっと掘り下げ過去の犯罪、成育歴をたどる部分が後の世に同じような犯罪が繰り返されないための検証材料として必要だったように思う。スピード判決は非常に望ましいが、発達障害が争点になった割には彼の人格形成に関与した詳細な2015/04/02
鬼灯の金魚草
30
司法制度とこの山地という本人、周りの人達に怒りを覚える。発達障害だアスペルガーだのってやった事に変わりはないので次にこのような犯罪が起こらないように解明して欲しかった。うちの子は発達障害で、沢山色んな子達を知ってるが、悪い奴は殆どいない。父親、祖母までアル中で碌な教育されなかったのは気の毒だと思うが、駄目なもんは駄目なんだよ!母親殺めた時きちんとケアしてればこの事件は起こらなかったと本当に思う。色々考えさせられる一冊だった。2017/10/16
くまちゃん
8
裁判の内容が詳細に書かれている。本として読むと同じ事を何度も書くなって思うけど、実際の裁判はこういうものなんだろう。被害者家族が傍聴して犯人は目の前。自分だったら取り乱して叫んだり飛び掛かったりしてしまいそう。被害者家族の気持ちから裁判のあり方まで、いろいろ考えさせられた2017/11/09
海
4
今まで何冊も殺人事件のルポを読んだけど、これは秀逸。(←あくまで個人の感想ですw)被告と弁護士や検事などのやりとりがQ&A方式で淡々を記録してあり、そこに著者が全くウザくない適度に注釈をいれてくれている。被害者側から書いているのにほとんど公平な目で冷静にルポしているので、このテのルポにありがちな著者の余計な感情論がなく、スッキリ読める。それだけに被害者家族の悲しみが際立った。2013/12/03
ヌーン
2
私、この事件のこと覚えていませんでした。同時期に沢山報道された事件があって、その影に隠れてしまったんでしょう。副題の「神さん」で、なんか宗教関係の事件かと思ったのですが、違いました。ひどい事件です。犯人は死刑になるべきだと思うし、何かの理由で釈放されるようなことがあったら、手術などをして二度とこんな犯罪のできない体にしてから出してもらいたいと思います。殺した人の人権を奪ったのだから、犯人の人権も奪われるべきなのではないかと思います。極論ですか?2009/10/27
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