内容説明
肺を病む小柄な青年が、田舎町に現われた。寄宿した家のあるじは、被告として裁判をひかえ、暗黒街からの影におびえる毎日だ。胸に何かを秘めた青年は、下宿先の美しい妻に接近していく。おなじ屋根の下には、世話好きの老人と、足の悪い娘。青年は、見えない脅威に次第に追い詰められながら、ひそかに牙をとぐ。だが、事態は彼の予想をこえて転がりはじめた。計画の意外な結末と、そのあとに待つ、おそるべき闇の世界…鬼才トンプスンのベストとも称される、異形のノワール。
著者等紹介
トンプスン,ジム[トンプスン,ジム][Thompson,Jim]
1906年生まれ。職業を転々としながら作家活動をつづけ、42年に初長編を出版。49年に犯罪小説に転じ、その後、ペイパーバック・オリジナルを書きとばす。50年代なかば、S.キューブリックの映画製作にかかわる。小説が斜陽となると、TV脚本にも従事。作品がすべて絶版の状態で、77年に死去。死後、ようやく作品の再評価がはじまった
三川基好[ミカワキヨシ]
1950年生まれ。早稲田大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hit4papa
30
裏社会から暗殺の命を受けた男の物語です。ターゲットの家に下宿し虎視眈々と機会を伺っているうちに、家主に疑われたり、家主の女房といい仲になったり、家政婦に手を出したり、他の下宿人を暗殺の見届け人と思い込んだりと迷走に迷走を重ねます。主人公が肉体的にも精神的にもひ弱で、ミッションを達成できないまま悶々とする様がつらつらと語られていきます。主人公の容貌を含め露悪的な描写は読んでいて気持ちの良いものではありません。トンプスンのノワールにしては悪党感がないと思いきや、最後の最後に衝撃的な結末が待っているんですね。2017/10/30
ネムル
18
何がどうしてこうなったか、スゴいオチ(ある程度予測は出来るにしても)。解説でエリクソンも大好きとあるが、ジム・トンプスンの乾いた笑いに接するとアメリカのプロレタリア文学やヴィアンらフランスのノワール、あるいはカフカの短篇にあるような欠損フリークまで、色々とわかる気がしてくるから不思議だ。2020/09/20
Yuji
11
主人公はまともなノーマルな人物(殺し屋だけど)。ザ・マンからの殺しの依頼をやむなく実行する立場に追い込まれ、顔を晒してその対象者の下宿人として潜入する。(どういう事?意味わからない?)保安官には目をつけられ、対象者の嫁さんや下女と関係する。下宿人の老人がザ・マンの手下である可能性が否定できず、嫁さんの暴走に徐々に追い込まれてゆく。何の冴えも見せない主人公が自滅。あれ?これは童話なの?何かの比喩??(とはいえノワール好きの識者には無茶苦茶響く何かが在るらしい)(私には臭わなかった)(残念)2016/09/17
はらぺこ
10
自分には合わなかった。なんかオモロそうな雰囲気は感じたけど、やっぱり最後までよく分からなかった。2024/03/31
GO-FEET
8
ラストはまるでデヴィッド・リンチの映像を見ているが如く…… ん、いやいやデヴィッド・リンチがジム・トンプスンを模倣しているのか?2018/07/10
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- 和書
- ちょい不幸はクセになる