内容説明
LAのダウンタウンにあるケーブルカー、“エンジェルズ・フライト”の頂上駅で惨殺死体が発見された。被害者の一人は、辣腕で知られる黒人の人権派弁護士ハワード・エライアス。市警察の長年の宿敵ともいえる弁護士の死に、マスコミは警官の犯行を疑う。殺人課のボッシュは、部下を率いて事件の捜査にあたるが…。緻密なプロットと圧倒的な筆力で現代アメリカの闇を描き出す、警察小説の最高峰“ハリー・ボッシュ”シリーズ第六弾、ついに待望の文庫化。単行本『堕天使は地獄へ飛ぶ』改題。
著者等紹介
コナリー,マイクル[コナリー,マイクル][Connelly,Michael]
1956年生まれ。フロリダ大学卒業。ロサンジェルス・タイムズ紙で十年以上記者として活躍し、ピュリッツァー賞の最終選考まで残った経歴を持つ。1993年、処女作の『ナイトホークス』でMWA賞の新人賞を受賞。その後も、“ボッシュ”シリーズを中心に、アメリカの暗部を描く社会性と、抜群のリーダビリティを併せ持つ傑作ミステリーを精力的に発表している
古沢嘉通[フルサワヨシミチ]
1958年生まれ。大阪外国語大学デンマーク語科卒。マイクル・コナリー邦訳作品の大半を翻訳している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tetchy
120
当時ロス暴動の引き金となった黒人をリンチした白人警官が無罪放免になった事件をモチーフにしたように黒人弁護士の殺人事件をボッシュは扱う。そのためか特に白人と黒人の反目が取り沙汰されている。一方本書で特に強調されているのは「すれ違い」だろうか。事件の舞台となったケーブルカー、「エンジェルズ・フライト」をコナリーは上手くボッシュの深層心理の描写に使っている。一度は近づきながらもやがて離れていくケーブルカー。これを出逢いと別れを象徴のようにボッシュが関わる女性との関係性に擬えるところにコナリーの巧さがある。2018/04/28
ゆいまある
76
黒人弁護士が殺された。今迄ロス市警と対立しており、白人少女が殺された事件(この事件が下巻の中心になりそう)の容疑者である黒人男性を弁護していた相手なので、市民は真っ先に警官による犯行を疑う。そこで捜査のリーダーに抜擢された我らがボッシュ。数々の邪魔な見張りは付くし、逆境の中の逆境。だが反目していた相手をうまく味方につける交渉手腕を見せる。住み慣れたロスの、信頼出来るチームに囲まれながらそれでも癒されないボッシュの孤独。緊張感が続き一気読みできる。下巻へ。2024/09/16
harass
73
単行本での読書。ボッシュとそのチームは管轄外の地域の殺人を担当させられる。ロスのケーブルカーで射殺された弁護士の犯人を追うのだが、弁護士は警官の腐敗を煽り利用し名を成した有名人で、捜査結果によっては暴動を招きかねない危険があった。前作でボッシュの妻となったエレノアとの破局の危機もあり、情報漏洩者の存在や、弁護士が追っていた事件もあり、ボッシュさんは大忙し。なかなか読ませるいつもの著者に感心。単行本と邦題が違い、エンジェルズ・フライトは実在し、ロスの観光スポットらしい。ググるとでてくる。2021/03/21
キムチ
64
ケーブルカー車内で発見された人権派弁護士の死体。銃痕が尻穴から・・レイプもどきという事で犯人は男か?ボッシュはエレノアとのムードが安寧ではない。禁煙も災いしてか?イライラが文字面から伝わる。暴き立てるやり口から この弁護士 ロス市警と対立している。証拠がじんわり見えてくると容疑者は警官か?と。でも今一つ決めてがパシッとしない・・で下巻を。いろんな伏線が張り巡らされ、面白み炸裂✨2022/02/20
巨峰
60
これ、めちゃめちゃ面白いやつ。きっと、数百冊に一冊くらいの当たりの気がする。上巻までは!2021/11/04