内容説明
塩は、人間の生存と生活に、欠くべからざる物質である。そして、人間の歴史は、塩をめぐって大きく展開してきた。科学技術、土木工学、税制や社会体制、そして宗教や料理といった文化も、塩によって発達した。ときには、部族間・国家間の対立や戦争も引き起こしてきた。本書は、「塩」をカギに、人間と文明を説き起こした驚異の歴史書である。世界的ノンフィクション作家が、膨大な調査をもとに完成した、知的刺激に満ちた1冊。
目次
第1部 塩、死体、そしてピリッとしたソースにまつわる議論(塩に託されたもの;魚、家禽そしてファラオ;タラのように固い塩漬け男 ほか)
第2部 ニシンのかがやきと征服の香り(金曜日の塩;北方の夢;塩たっぷりの六角形 ほか)
第3部 ナトリウムの完璧な融合(ナトリウムの悪評;地質学という神話;沈みゆく地盤 ほか)
著者等紹介
カーランスキー,マーク[カーランスキー,マーク][Kurlansky,Mark]
米国コネティカット州生まれ。歴史と食物を中心に作家活動を展開し、『鱈 世界を変えた魚の歴史』(飛鳥新社)と『塩の世界史』は、さまざまな賞に輝くなど、高い評価を受け、ベストセラーとなった。NYでシェフとして働いた経験もある
山本光伸[ヤマモトミツノブ]
1941年、東京生まれ。国際基督教大学歴史学科卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
23
ヨーロッパの塩に関する歴史書です。食物の関連では砂糖と茶については本で読んだことがありますが、塩は初めてです。ヨーロッパでは岩塩が中心でそのような話も出てきますが、やはりなくてはならないものなのでしょう。塩をめぐる争いも結構あったようです。それで歴史を動かした、ということでいい観点での本だと感じました。日本は塩田でしょうが、それについての本をだれか書いてくれないでしょうか?2014/08/28
ジュール リブレ
17
この間読んだ 砂糖の世界史は 岩波ジュニア新書で、読みやすかったけど、さすがに塩の世界は甘くないなあ。 硬派な400ページ強。塩がないと生きていけない人類だから、塩を巡る争いも繰り返される。力作です。2011/06/15
はる
14
図書館本。初読み予定のポケミスを追い越して2018年の一冊目に。サラダ、サラリー、それから塩漬け肉~海があるから塩もある!と気軽に読み始めたけれど、しっかり世界史だった。おお!一年の半分は肉もダメ子作りもダメ(でも免罪符は売ってやるよ!)の宗教商売おそろしや。肉や魚に振っている塩の量だけで喉がカラカラになりそうだ。!!日本の塩の専売についての本が読みたくなってしまった。!!家にあるネパールの塩も使わなければ。2018/01/03
kenitirokikuti
11
図書館にて。先日、墨田区にある「たばこと塩の博物館」を訪れた。日本では、塩は海産物のイメージが強い。しかし、全球的には塩とは鉱物であり、冶金や鉱業と近い。また、塩鉱に水を注ぎ込み、塩井として塩水を得るというやり方も。ただ、地盤沈下など起きたりするそうな。このやり方、シェールガスと同じ考えなんだなぁ▲現在、缶詰や冷蔵によって塩蔵の必要性が大きく低下、ソーダ工業もナトリウム成分よりも塩素の必要が大きい。いまは塩分の摂りすぎの方が問題なので、塩の価値が高かった頃を想像するのはなかなか難しい2024/04/02
Mzo
10
塩を題材に記述された世界史の本。蘊蓄が多くて面白いんだけど、あまり体系的に書かれてはいないので、流れなどは把握しにくい。雑学的にゆっくり読むのがよいと思います。2022/01/17