内容説明
日本にとって太平洋戦争は非常に大きな出来事だった。価値観や運命を変え、その後の政治経済の進路に深い影響を与えたのである。この戦争への岐路は、昭和6(1931)年9月19日の満州事変の勃発だった。それから約10年後の昭和16(1941)年12月8日、真珠湾攻撃を敢行し、米英に宣戦布告する。日本はどのようにして太平洋戦争へ向かっていったのか。太平洋戦争以外の選択肢はなかったのか。歴史的事実の解説や注訳とともに、13人の論客が太平洋戦争前史ともいえる激動の10年間を検証する。
目次
昭和前期史―局限されていた日本の選択肢/遅すぎた「悪夢」の目覚め(岡崎久彦)
満州事変―軍事的天才による謀略/東洋代表で世界最終戦へ(松本健一)
満州国と国際化―日本文明圏が広がる気分/「他者」への認識深まりも(坂本多加雄)
二つのテロ事件―暴力に命を奪はれた社会/欠けてゐた「弓道の道」(小堀桂一郎)
盧溝橋事件―「日中」を象徴する盧溝橋記念館/決着した「第一発」論争(秦郁彦)
満州事変と日中戦争―まるで異なる二つの事件/泥沼化招いた統帥権独立(入江隆則)
蒋介石と日本―見事だった日本牽制戦略/彼を知らず己を知らず(伊原吉之助)
汪兆銘の悲劇―和平求めもう一つの政府/日本の敗北で「漢奸」に(上坂冬子)
二つの日記から―追いつめられていく国民/現実から遠ざかる政治家(御厨貴)
ノモンハンと南進―不問にされた無謀な「戦争」/外圧でなされた軌道修正(半藤一利)
三国同盟(櫻田淳)
国際情勢と日本(中西輝政)
私の「運命の十月」(三浦朱門)