扶桑社ミステリー
おれの中の殺し屋

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  • サイズ 文庫判/ページ数 366p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784594049621
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

テキサスの田舎町のしがない保安官助手、ルー・フォード。愚か者をよそおう彼の中には、じつは危険な殺し屋がひそんでいた。長年抑えつけてきた殺人衝動が、ささいな事件をきっかけに目を覚ます。彼は自分の周囲に巧緻な罠を張りめぐらせるが、事態はもつれ、からみあいながら、加速度的に転落していく…饒舌な語り口で、おそるべき人間の姿を描ききった、現代ノワールの金字塔!ジム・トンプスンの最高傑作と賞されるあの名作の新訳決定版、ついに登場。

著者等紹介

トンプスン,ジム[トンプスン,ジム][Thompson,Jim]
1906年生まれ。職業を転々としながら作家活動をつづけ、42年に初長編を出版。49年に犯罪小説に転じ、その後、ペイパーバック・オリジナルを書きとばす。50年代なかば、S・キューブリックの映画製作にかかわる。小説が斜陽となると、TV脚本にも従事。作品がすべて絶版の状態で、77年に死去。死後、ようやく作品の再評価がはじまった

三川基好[ミカワキヨシ]
1950年生まれ。早稲田大学文学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

GAKU

49
60年以上前に上梓された、ジム・トンプスンの最高傑作と言われている作品。20数年前「内なる殺人者」という題名で出版。こちらは新訳で「俺の中の殺し屋」という題名で10年程前に出版されたもの。解説でスティーヴン・キングが絶賛している。ただ私の感想としては、今一つでしたね。初上梓の60年前であれば凄い作品であったのだろうけれど、今読んでみるとそれ程ではないのでは?昔の傑作って結構そういう事ってありますよね?同じような設定といえば、以前読んだジェイムズ・エルロイの『キラー・オン・ザ・ロード』の方が面白かったかな。2016/05/08

藤月はな(灯れ松明の火)

38
絵に描いたような保安官、ル・フォードはサイコパスだった。そんな自分の代わりに服役した義兄マイクが工事現場の不正を隠したい監督に殺された。敵の父に頼まれた情婦との縁切りも合わせて復讐を誓う時もフォードには義兄への追悼などの哀しみはない。ただ、自分の代わりに自ら、罪を被ってくれる手駒を失った惜しさと義兄の復讐という題目で人を殺すことができる微かな喜びがあるだけ。それなのに人は心のどこかで恐れながらも気づかなければ人畜無害なのでフォードを愛している。このフォード自身の空虚さと周囲との齟齬にぞっとするしかないのだ2015/12/02

ネコベス

36
テキサスの田舎町の保安官補ルー・リードは町はずれに住み着いた売春婦を追い出すつもりが良い仲に。結婚を約束した女性がいて親切で愛想が良い頼りになる男ルーは、次第に秘めた本性を顕わにして行く。社会に適応し一目置かれる存在だった主人公が隠し通してきた心の暗黒面が徐々に滲み出し殺人衝動を抑えられなくなる様を描いた著者の代表作を再読。常識人の顔を持つルーが自分の都合に合わせてあっさり態度を豹変させる歪んだ狂気が恐ろしい。読後も強烈なインパクトが残る凶悪なサスペンス小説だった。2020/10/03

バ度ホワイト

27
語り手の男は生まれ持ったサイコ気質野郎である。更に父親からトラウマという罪悪感を植え付けられたダークサイドまである。『ポップ1280』のニック・コーリーと被る所もあるこの主人公ルー・フォードには過去がちらほらしているのだ。彼らは狡猾であるが時折みせる間の抜けた態度にニンマリ。例え話や緊張状態での考えにクスッと笑えてしまう。キングさんが解説でいう、主人公に同情しないがカタルシスを感じる。ってホントそれ! でもあまりハマらず…う~ん…期待し過ぎたか。2020/11/28

空猫

26
【海外ミステリマストリード25/100】助手とはいえ保安官の男が次々と殺人を重ねていく様子を追体験させられる構成。「おれは疑われない。疑われるのは浮浪者に前科者だ」けれどもちろん、破滅に向かっていく。彼は家政婦により異常性が開花し、父と弟によって蓋をされるも、売春婦がきっかけで再度吹き出す、「おれ」の中の狂気…おれは自分をごまかそうとしていた…これでー終わりだ、とおれは思うーおれたちみんな。(p349)「おれ」はあなたにも、わたしにも…2020/06/05

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