内容説明
美しい足を愛するぼくとキャサリンとの密月は、異常な関係に戸惑う彼女の一言で、突然終わりを告げた。しかも、まもなく再会したキャサリンの隣には新しい恋人の姿が!ぼくは怒りにまかせ、昔気質の靴職人ハロルドの店を訪れる―かつてキャサリンのために見事な靴を作ってくれた彼なら、よき理解者になってくれると期待したからだ。キャサリンの恋人が殺され、ハロルドが店をたたんだのは、その翌日のことだった…。足への偏愛から悲運に絡め取られた男の悲劇を綴った、異色ミステリー。
著者等紹介
ニコルスン,ジェフ[ニコルスン,ジェフ][Nicholson,Geoff]
1953年、イギリス生まれ。ケンブリッジ大学、エセックス大学を卒業。教師、セールスマン、警備員など様々な職業を経て、作家になる。現在は、ロンドンとニューヨークを拠点に活動している
雨海弘美[アマガイヒロミ]
早稲田大学文学部卒。英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
つちのこ
35
足フェチの大御所、谷崎潤一郎の資料つながりで手に取った。この小説の主人公は足と脚、それを包む靴をこよなく愛するのだが、ここまであけっぴろげに足フェチを賛美(?)されると、何が変態で何がノーマルなのか分からなくなる。著者はそれを計算ずくでフェティシズムの真意をテーマにしたように思える。フェティシズムはどうやら性癖に限っておらず、食べ物であったり、モノであったり、あらゆる嗜好性にあてはまるようだ。ストーリーは“類は友を呼ぶ”のごとく、似た者同士が絡む濃密な展開になっていくが、ミステリの要素もあって楽しめた。2026/01/16
踊る猫
30
「オトコ」が変態趣味(本作に即して言えば女性の脚への偏愛)を吐露する場合、どんなに自己批評的にインテリジェンスをまぶして韜晦を重ねても(いや、そう涙ぐましい努力を重ねるほど)この男社会においてはいやおうなく支配権の権化を股間にぶら下げた性として扱われる。そして、その当の「オトコ」もまたその権化に振り回される可笑しみと哀しみが浮き彫りになる。そんな性のペーソスをにじませた作品として、そしてぼくも「オトコ」なのでそのペーソスを共有する存在として、ストーリーの面白味こそヌルさを感じるもののあなどれないと受け取る2025/06/09
ヴィオラ
2
前半変な話で、後半わりと普通にミステリーという、ニコルスンらしい感じだけど、今作は「変な話」の部分が充実(?)していて楽しかった。足フェチな主人公が語る「足・靴」についての蘊蓄が、文学・美術・歴史・映画…と実に幅広くて、それだけでも楽しめます。ラストもなかなか秀逸(^_^;)2011/10/16
よふかしとるねいど
1
ジェフ・ニコルスンの作品は題材もその扱い方もマニアック。好きなんだけど現在3作品しか訳されていないのが惜しい。2020/10/04
sohya_irej
1
訳・解説:雨海弘美/日本版の表紙が、モデルの足をトリミングでカットしている写真なのは残念。足を覆い隠す野暮で無用な心づかいについては、作中で言及があるのになあ。2017/04/15




