内容説明
薬害により、ほとんど視力を失ってしまった少年がいた。家族も含め、誰もが絶望の淵に追いやられる。だが不思議なことに少年はその運命を素直に受け入れ、両親の勧めるままにヴァイオリンを手にする。それが奇跡の始まりだった…。英国王立音楽院協奏曲コンクール優勝、その他輝かしい経歴を誇る天才ヴァイオリニスト、川畠成道の壮絶な人生。彼が手にしたものは人生の光だった。
目次
第1章 運命の街、ロサンゼルス(2000年9月、ロサンゼルス公演;20年前の日々をたどる旅 ほか)
第2章 ヴァイオリニストへの道(僕の目は、もう治らないの?;ヴァイオリンを仕事にするという選択 ほか)
第3章 不安と希望の英国留学(母と二人の海外生活;ナリミチの演奏を作れ ほか)
第4章 輝ける音楽家、素晴らしきソリストへ(日フィルとの共演;紀尾井ホールでの初リサイタル ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
64
彼の演奏を聴いて。8歳の時に祖父母と出かけたロサンゼルスで風邪をひき、その時飲んだ薬の薬害で視力を失った川畠成道の自叙伝。壮絶な自分の人生を素直に自分の運命として受け入れ、自分の命を救い、ヴァイオリンを与え、教えてくれた人々に心からの感謝を忘れずにいる彼の謙虚さに胸を打たれる。あるがままを素直に受け入れ、その中で自分ができる限りのことをする。そういった謙虚さと、彼の奏でる音の美しさは決して無縁のものではないのだなと思った。彼の病気以後の話が紹介されている英語の教科書があるそうで、それも読んでみたい。2018/12/01
真香@ゆるゆるペース
14
風邪薬の副作用で視力を失った、バイオリニストの川畠成道さんの自叙伝。葛藤もあったはずなのに、腐ることなく素直に運命だと受け入れ、真摯にバイオリンと向き合う姿勢や精一杯生きる姿に胸を打たれました。読んでいて心地の良い文で、本業はバイオリニストなのに文才もある方なんですね。動画で演奏を少し拝聴したのですが、力強くも繊細で何度でも聴きたくなるような、素敵で心洗われる感じでした。コンサートで生で聴いたらめちゃくちゃ感動するんだろうな…2018/06/01