内容説明
昭和八年、東京での留学生活を終え帰国の準備をしていた陶展文の元に、神戸で海産物問屋を営む友人・喬世修から一通の手紙が届いた。彼の頼みで久しぶりに同順泰公司の三色に塗り分けられた建物を訪れた展文だが、やがてそこで殺人事件が発生する―。江戸川乱歩賞受賞作『枯草の根』で初登場した中国人探偵・陶展文の若き日の活躍を描く第二長篇『三色の家』に加え、神戸異人館で発生した毒殺事件の謎を追う第三長篇『弓の部屋』を収録!異国情緒と不可能興味にあふれる巨匠の初期傑作ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tanaka9999
1
表題作は戦前の神戸の輸出業を営んでいる華僑が舞台。昔の輸出業の雰囲気の中での事件はおもしろかった。弓の部屋は探偵役を務める婚約者により巻き込まれる主人公の女性。主人公の途中の動きが興味深い。2018/06/08
青縁眼鏡
1
惹かれる物語だった。細部の描写が好み。ジョン・ル・カレのスマイリー三部作を読んだときと同じような感動を受けた。2017/10/17
地雷原
1
時代を活写した風俗小説として大変興味深く面白い。文章が枯れていないので、華僑の生活感、海岸村の「におい」までが濃密に書かれている。併録の「弓の部屋」は、陳舜臣がこういうものを書くのかとびっくりし、にこにこしてしまった。「心で見た」はワンアイディアながら「なるほど」と納得。しかしそれ以上に陳の創作論が垣間見えるのが良かった。2012/06/02
kanamori
0
☆☆☆2011/10/17
スーパーつきま
0
弓の部屋がこれまで読んだ陳先生の推理小説とは異なる味わいの作品で、楽しく読めた2021/12/20