内容説明
童話作家・相良直樹の部屋に突然現れたその少女は、果たして何物なのか?「裏の顔」を隠すために直樹たちと“魔婦”未知子との虚々実々の駆け引きが始まった。その果てに、恐るべき破局が待ち受けているとも知らず―。飽くなき情熱を持って原始世界への郷愁とそこに躍動する女性たちの美しさを描きつづけた香山滋の代表的長篇『魔婦の足跡』、全集のみに収録の幻のレズビアン・サスペンス『ペット・ショップ・R』、著者独自の境地を示す二作を一挙に収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
unknown
2
未知の生物や怪獣だけでなく、ファナティックな女性像というものにも眼差しを注いでいた香山氏が中期~後期に発表した<魔性の女>テーマの二作品を収録。両作品とも、ドロドロの愛憎と駆け引きの果てに破局を迎えるというプロットで、女性達の危うい魅力がグイグイとストーリーを引っ張っていく。表題作の後半は氏の得意とする冒険小説的エッセンスもたっぷり。「ペット・ショップ・R」は背徳的なエロティシズム濃厚な百合サスペンスもので、こちらもズシリとヘヴィな内容。『ゴジラ』の原作者としてしか香山氏を知らない人にも是非読んで欲しい。2013/04/30
可不可
1
『魔婦の足跡』は傑作だと思う。会話にドキリとさせるインパクトがあり、どこか昭和前期の香りがあって、僕好みの作品だ。文句なく面白い。■『ペット・ショップ・R』では、主人公というべき「矢島京子」の成長(?)ぶりに目をみはる。だけど、もう一段のドンデン返しが欲しかった。■ぼくにとって、作者の香川滋は初めて読む作家だが、ファンになった。次の作品を求めて、すぐに香川の小説を4冊注文した。興味深い作家を掘り起こせたことに満足。2024/08/18
しい太
1
解説冒頭に「読者の中には香山滋のことを『ゴジラの原作者』としてしか認識していない人もいるかもしれない」とあって「いやむしろそれは初耳だわ」となった。このモダンで官能的な文章から想像もできんし。表題作の未知子はファム・ファタールを太字でなぞって塗り潰すかのごとき魔性の女、ではあるが話の展開が凄すぎてその魔性が(結構それも凄まじいんだけど)霞んでしまうところはあった。併録「ペット・ショップ・R」は読者というよりなんか蚊帳の外に置かれた気持ち。2020/05/16
キャロン
0
「レズビアン・サスペンス」ってどんなジャンルだ! 「魔婦の足跡」皆が未知子を「魔婦!!」と言うけど、そんなにポピュラーな言葉なのかしら・・・。2008/04/15
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- 和書
- ビール!ビール!ビール!