内容説明
1958年の夏。当時、12歳のわたし(デイヴィッド)は、隣の家に引っ越して来た美しい少女メグと出会い、一瞬にして、心を奪われる。メグと妹のスーザンは両親を交通事故で亡くし、隣のルース・チャンドラーに引き取られて来たのだった。隣家の少女に心躍らせるわたしはある日、ルースが姉妹を折檻している場面に出会いショックを受けるが、ただ傍観しているだけだった。ルースの虐待は日に日にひどくなり、やがてメグは地下室に監禁されさらに残酷な暴行を―。キングが絶賛する伝説の名作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
236
読んでて、しんどかった。怖かったです。そして、なんかすっきりしない読後感です。やっぱりこの手のジャンルは苦手だな。子供の無力さを強く感じましたが、それでも、デイヴィッドには早く勇気を出してメグを救って欲しかったな。とはいえ、怖さで頭がまわらなく、どう表現していいかわからないですが、いろいろと考えさせられる物語でした。2018/10/14
紅はこべ
203
長編としてはそんなに長くないのに、読むのに時間がかかったのは辛すぎたから。理由が判然としない虐待ほどむごいものはない。無惨な初恋。近所の子供達が入れ替わり立ち替わりメグを襲うシーンでは、稲村亜美事件を思い出した。きっかけさえ与えれば、集団にかくれれば、人はいくらでも残虐に無神経になれる。ドニーの変貌ぶりは、報われぬ恋の恨みか。デイヴィッドに嫉妬していたのかな。ルースは夫に捨てられさえしなければ、よい母親代わりになれたんだろうか。2018/03/15
absinthe
200
不条理なお話です。嫌悪感を催す人も多いでしょう。 隣の家で理不尽に虐待が続くお話です。 主人公の少年は恐ろしくて見たくないと思っている反面どこか続きがみたいとも思っており、それが読者の心の闇を暴いてしまうのです。 オススメなど気軽に出来る本ではありませんね。 むしろ閲覧注意とするべきか……
海猫
175
相当前から持っていた本だけど内容が劇薬らしいのでビビって読み出せすにいた。が、思い切って手を出す。前半はむしろ牧歌的で淡い初恋物語のようで引き込まれる。だんだんとお話は不穏になっていき少女メグへの虐待がエスカレート。状況が煮詰まっていく過程がゆっくりと納得できるように書いてある。虐待する者の心理もある程度、理解できるよう描写してありそれ故に嫌さもキツい。メグに魅かれながらも虐待を止めず加害者にもなれず、傍観する主人公ディヴィッドに感情移入できてしまうのも辛く、読み終わったあと読者としても罪悪感に苛まれる。2025/08/07
nobby
164
読了して感じるのは空虚…ある1人の美少女への虐待そしてエスカレートする残虐な暴行に対して、憤りや悲しさ・虚しさなど様々な想いが巡るも行き着く感情はやはり無…ムラ社会いや一家の中で追い込まれる恐怖、さらに大人かつ親として絶対権力及び狂気を振り翳されたら逃れようがない…実話に基く戦慄の描写は凄まじい…ただ12才の少年の見聞きしたまま、思ったままの表現故か、不思議に読みやすい。憤怒しながらも夢中でページめくる傍観者な自分も立派な共犯者なのか…冒頭から投げかけられていた“苦痛”を、既に背負わされたのかもしれない…2019/01/14