内容説明
毎晩午前三時、デニーの家に電話がかかってくる―。デニーの父、ジョン・ポールは十六歳のとき、田舎の劇場で二十二人の死者を出した惨事にかかわり、それ以来ジョン・ポールとその家族は、ひっそりと生きてきた。父の禁に背いて受話器を取ったデニーに、正体不明の女性は、「ルル」と名乗った…。電話で心を通わせるデニーとルルを待ち受ける結末とは?人間心理の闇を描いて比類なき巨匠コーミアの最新青春サスペンス!巻末に、『不夜城』の馳星周氏らによる「コーミアを語る」特別解説座談会を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
でんすけ
2
先の展開が読めないタイプのミステリではないけど、デニー少年の淡い恋や社会との関わりなど、若さゆえに苦悩し揺れ動く感覚が好きだった。背後には児童22人が亡くなった劇場での事故があり、物語に影を落とす。これは事件の謎を解く物語と言うよりは、デニー少年の成長譚として読むほうが楽しい。電話に出る父の姿は、序盤と終盤でほとんど変わっていないはずなのだけれど、デニーの目を通して物語を追ってきた自分には、無言で電話を聞く姿も全く違って写る。2023/12/13
澤水月
0
0106292001/06/29