内容説明
1905年から始まる、アスタの残した膨大な日記―それはデンマークからイギリスに移住してきた彼女が、24歳の時から数十年にわたって書き記したものだ。死後、日記は娘のスワニーによって順次翻訳刊行され、ベストセラーとなった。そしてスワニーも世を去ると、姪のアンが祖母の日記をはじめすべてを受け継ぐことに。そんなアンにかつての友人でテレビ・プロデューサーのケアリーが連絡を取ってきた。遠い過去に起こったある未解決の殺人事件に関連したことが、日記の原本に書かれているのではないかというのだが…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
32
デンマークからイギリスに1905年に移住してきた女性の日記を本にして出版した娘。そしてその姪が日記を巡る謎に気がつく。日記原文にその謎が隠されているらしいが、無駄に考えたりしないで、下巻下巻。2019/01/15
Tetchy
4
よくもまあ、ここまで精緻に“歴史”を紡ぎ上げたものだ。実際の歴史的事実を織り交ぜ―しかも史実を織り交ぜた事が紛失した日記の一部のキーとなっている!―、また実際にそこにあるかのような細かい描写。強烈な個性を放つアスタを筆頭に一読忘れ難い人々。ひたすら脱帽である。2009/03/31
Susumu Kobayashi
1
ルース・レンデル別名義の長編小説。アスタ・ウエスターバイはデンマークから夫ともにイギリスに渡った。彼女は一九〇五年から死の数年前まで人知れずデンマーク語で日記をつけていた。アスタの娘スワニーは母親から全財産を遺され、遺品を整理する過程で日記を発見する。翻訳された日記が出版されると、一躍ベストセラーとなり、亡きアスタは有名人となる。スワニーは二巻まで日記を出したところで死亡し、日記は姪のアンへと引き継がれる。その日記が過去の未解決殺人事件と関係があるのではないかと、アンの友人ケアリーが問いあわせてくる。2013/10/13
nightowl
1
書いていた日記がベストセラーとなったアスタ。彼女の娘、スワニーは中傷の手紙を受け取った日からアスタが亡くなるまで始終自分が本当の子供なのか訊ねていた―アスタの孫であり、スワニーの姪にあたるアンは公式には未解決となったある殺人事件について調査に協力するよう頼まれる。日記に手がかりがあるらしく、他に書籍化されていない文章があるのではないかとのことだったが…この二つの事柄がどう繋がってくるのか気になるところで上巻は終了。細々とした一族の人物描写(と関係性)が読んでいて一番楽しかった。2011/07/07