内容説明
田村正和主演・大人気ドラマのノベライズがついに文庫化。事件が起こると忽然と姿を現わし、犯人を逮捕すると忽然と消えてしまう、バカ丁寧だが捕らえどころのない変わった男―警部補・古畑任三郎が大活躍。今回、古畑に挑戦するのは精神科医の笹山アリ、歌舞伎役者の中村右近、ミステリー作家の幡随院大、ピアニストの井口薫、超能力少年の黒田聖の五人。それぞれクセのある殺人事件だが、首尾よく古畑をだませるのか。それとも…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
192
神経科医のアリ先生の犯行は、悪戯好きの患者兼愛人の男が泥棒のふりをするのを見越してバットで殴り殺すというもの。男はもちろん何の道具も持っていない。古畑は、泥棒が手ぶらで、マンション三階のベランダの施錠してない窓を探して回るだろうか…と食いついてくる。矢継ぎ早の質問を浴びせ、「心理学的に見てどうなんでしょう」と相手の専門知識を喋らせて隙を衝こうとする。刑事と犯人が二人で料理をし、食卓を囲むというあり得ない場面が面白い。ギリギリの所でアリ先生も会話を楽しんでいたのではないか。古畑は犯人の人格を否定していない。2025/02/13
absinthe
171
よかった。特に最後のピアニストの作品が好き。職業エリートの犯人に庶民代表の刑事が切り込んでいく展開が良い。5分ならぬ『15分後に意外な結末』といった感じ。完全に倒叙もので読者は犯人視点で事件を見る。古畑は鋭い刑事であって風采の上がらないコミカルな調子は小説からは感じなかった。コメディの中にも哲学は必要で、犯人には職業に応じた哲学がある。absinthe的にはもう少し、犯人の職業上の蘊蓄を掘り下げてほしかったが。難を言うと本書は誤字が多すぎた。2021/03/30
Richard Thornburg
32
感想:★★★★ シリーズ第1弾! ・・・とはいえ、あとがきでシリーズ第2弾(全10話)で終了と書いてあったのは笑えますね。 5篇の短篇で構成されています。 この作品は小説→実写化されたのではなくその逆。 小説の中での古畑サンは実写版よりも言葉遣いはバカ丁寧でねちっこくて図々しい(笑) 短篇であのTVシリーズのように細かい部分を再現できているのかとも思いましたが、必要な部分は全然手を抜いておらず、ある意味簡潔明瞭な推理小説って感じで好感でした。 2021/03/14
あああ
24
面白かった!読友さんに勧められて読んだのですが、まさかここまで『アタリ』だったとは……!『倒叙と言えばコロンボと古畑って言われるレベルだし、読んでおいて損はないかな』くらいな気持ちで読みだしたのですが……。めっちゃ面白かったです!古畑さんと犯人の会話も面白いし、古畑さんがどうやって犯人を追い詰めていくかを見るのもすごく楽しい。飄々としていてつかみどころのない性格の古畑さんにぐいぐい惹かれていきました。もっと続きが読みたい!だけど、市の図書館にはなかった……。ブックオフで探そうかな。2018/04/26
ぶんぶん
20
【図書館】【再読】DVDで「古畑任三郎」の週刊分冊が出る事を知り、懐かしくて図書館へリクエストをしてしまった。このドラマの放送は良く見た、シーズン3、スペシャルも観た。改めて小説版を見て細かい個所が違うけれど、流石、脚本家、ノベライズにしても古畑だ。読んでいると様々なシーンがBGMと共に甦って来る。田村正和の雄姿が・・・超能力者のラストが変わっていたが、これでいいと思う、クイズ王にしても、生け花にしても、いつも現場にいるのは、やや不自然かと思われます。懐かしさに浸りながら2巻をリクエストした。2021/12/14