内容説明
蘇る死人、闇に蠢く不気味な生き物に、少年たちはなすすべもなく追い詰められていった。しかし、デュエイン少年は相次ぐ怪奇な現象の裏に、古代エジプトに起源を持つ〈ボルジアの鐘〉に宿る邪悪な霊力の存在を突き止めた。歴史の暗部に生きつづけていきたその魔鐘が、オールド・セントラルの開校時鐘楼に吊るされたのだ。心が萎え、身も凍る恐怖のなか、勇気と知力の限りを尽くして少年たちは悪霊に立ち向かっていくのだが。小さな町にある学校の廃校がもたらした恐怖の一夏を、実力派作家が描く長編ホラーの力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
50
怯え逃げ出したい気持ちを抱え込みながら、少年たちの反撃が始まる。デュエインの遺した知識、家族を狙う魔物の来歴を少しずつ武器にして、闘い方を模索しながら。コーディとの共闘、敵に罠を仕掛けるマイクの知略。彼は世間的には落第生だけれど頭の回転は早い。オールドセントラル校舎の内部での分散しての闘いは手に汗握る展開。皆が無事に帰れますようにと、読み手も祈らずにはいられない。そして爽やかな幕切れ。失ったものは多くても、得た友情は不滅なはず。【日本の夏は、やっぱり怪談】参加作品。2020/08/15
to_chan
10
上巻500ページは予兆と背景をじわじわ。下巻から急にギアチェンジして一気読みさせる。少年たちの描写が(思ってたよりは)ドライで、友情と絆が前面に出過ぎてないのが、かえってキュンキュンくる。男の子同士、意外に距離感あるというか。2020/08/08
Ayah Book
9
これは私の中で今年のナンバーワンかもしれない。何という勇気あふれる子供達。腰抜けなんて一人もいない。子供達のすごさに感動すら覚えた。ホラー&アクション、そして切ないラスト。デュエインを忘れてないところにまた感動。わたしはやっぱりデュエイン派。2017/12/07
one_shot
7
1960年夏、アメリカがまだベトナムの泥に足を突っ込む直前の、古き良きフィフティーズが残る頃。八十四年の歴史を持つ小学校、オールドセントラル。イリノイの田舎町には不似合いなほどの威容を誇るその建築物で何か恐ろしい事が秘密裏に進行している。デイルたちわんぱく6人組のうち一人の悲惨な死を引き金に、子供たちはこの町に巣食う謎の解明に乗り出す。期待通り、大人たちは少年たちの戯言に耳を貸さず、頼りになるのは仲間だけ。田舎町、少年、最後の夏、そして殺人。あの雰囲気が好きな人にはオススメしますが評価は分かれるでしょう。2019/10/15
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】
7
**ホラー・上下巻感想**小さな町に威容を誇ってきた学校が長い歴史を閉じることとなった。だが終業式の日、一人の少年が絶叫と共に行方不明に…!慌てる保護者と学生たち!しかし教師たちは異様な程落ち着いていた・・・学校に隠された恐るべき真実とは!?――まさにダン・シモンズ版『IT』!これは比較してみると面白いかもしれません。本書はマキャモンの「少年時代」が好きな方は楽しめると思います。助かりそうな人物が実は助からなかったりと、そんなところが異様なまでに現実的!恐怖に立ち向かう勇気が素晴らしい傑作ホラー!2013/03/03