内容説明
19世紀、フランス。夫を亡くしたマドレーヌが失意の中で産んだ長男エリックは、この世のものとは思えない恐ろしい容貌をしていた。以来マドレーヌは我が子をどうしても愛することができず、仮面をかぶせて屋根裏に閉じ込める。やがてエリックのずば抜けた頭脳は顕著になり、幼くして建築学を極めるとともに音楽の方面でも類いまれな才能を発揮。だが八歳になったとき、自分がいると母にも危険がつきまとうと知ったエリックは、自ら家を飛び出した…。あまりにも有名な〈怪人〉の生涯を、生い立ちから書き起こす感動作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
68
ううっ…せつないです。あまりにも嵌ってしまい、オペラ座の怪人の世界から現実の世界へ帰れなくなりそうです。ファントムのエピソードワンといった趣向なんですけど、映画やミュージカルやルルーの原作が思い出されて、ファントムに完全にのめりこんでしまい、上巻だけでもうクタクタです。これはオペラ座の怪人ファンには外せない小説ですね。発見出来て良かったです。そして、早速友人達にも貸出決定です。下巻でどうなっちゃうのかなぁ?心配で何も手につかないほどです。2012/07/19
SOHSA
36
《図書館本》スーザン・ケイによる「オペラ座の怪人」エリックの物語。スピンオフ作品。エリック誕生の秘密とともにその悲愴な運命は読み手の心をひどく惹きつける。全てから疎外されたエリックにとってしあわせはどこにも存在しない。生きること自体が苦悩の積み重ねであり、しかし奇しくもエリックの生きる力ともなっている。彼の最期が明らかなだけにそこへと進んでいくエリックの道程がやはり不憫でならない。2017/07/16
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
23
ガストン・ルルー原作「オペラ座怪人」を下敷きに「怪人」と呼ばれた男の幼少期を描いた物語。この世のものとは思えない恐ろしい容貌で生まれたのは何も彼の責任ではないのに、どうしてここまで迫害を受けなければならないのか。そして大いなる才能を持ちながらも外の世界に出て行くことを許されなかった幼少期。ホント理不尽としか言いようがない。これまで自分の顔を見たことのなかった彼が初めて自分の顔を鏡で見たシーンは読んでいて辛かったです。そして出来る事ならジョヴァンニと共に過ごす時間をもう少しあげたかった。★★★★2011/09/06
かなえ
22
これで10度目くらいの再読。読むたびに妖しい世界に引き込まれます。エリックにまた魅了される日々…。2016/01/23
井戸端アンジェリか
20
オペラ座の怪人エピソード0。本編を読んだのは4年前、怪人に名前がある事も忘れておりました。その点では怪人の母及び関わるクダラナイ人々と同じでした。ごめんなさい。 とにかく悲しい。愛さえも仮面を取り去った途端死に変わる。ああ、なんとかならんのかっ! もしもこの時代にYes高須院長が居たならば...。怪人の幸せを願い下巻へ急ぐ。2019/01/18
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