扶桑社ミステリー<br> ダーティ・トリック

扶桑社ミステリー
ダーティ・トリック

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  • サイズ 文庫判/ページ数 320p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784594012052
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

オクスフォード卒のインテリでありながら、語学教師として薄給に甘んじている私は、パーティーで裕福な会計士デニスと知り合い、その妻カレンと不倫関係に陥った。金のことしか頭にない俗物デニスに憎悪をつのらせる私の前に、ある日、デニスの財産を合法的に奪い取る、願ってもないチャンスが訪れる。私は慎重にことを運び、富と社会的地位を手に入れることに成功するが、その先には意外な陥穽が待ち受けていた。『ラット・キング』でCWAゴールド・ダガー賞に輝いた鬼才ディブディンが描く異色の犯罪小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

272
小説の構成は凝り過ぎて煩雑だ。「私」の手記だけで十分だろう。時は20世紀の終わり頃、舞台はオックスフォード。オックスフォードに対しては大学街のイメージしかなかったが、住居区としてのイースト・オックスフォード(低所得者層の住む地域)とノース・オックスフォード(新興のお金持ちが済む地域)は、初めて知った。そして、このことが小説の経糸を構成している。本書はクライム・ノヴェルとはいうものの、イギリス特有の階級対立を内に孕んだ社会派小説でもある。また、真相は全て藪の中という手法は、賛否両論を招くだろうが私は好きだ。2016/02/03

遥かなる想い

200
いわゆる犯罪小説だが、「私」の存在感が 強烈である。英国の階級差に対する 「私」の複雑な感情が執拗に繰り返される。 ひたすら 「私」の視点で語られる この物語、 どこまでが真実なのか? 登場人物の誰もが 世俗的で、魅力がない この物語.. 終盤もめまぐるしく、 真相は闇の中とも言えるお話だった。2017/07/30

ケイ

108
小市民に見えた語り手が、だんだん羽目を外していっていくように見えるが、次第にこれは信用できない語り手であることに気付く。時に派手でインモラルな性描写に気をとられると、語り手の術中にはまってしまうので気を付けねばならない。最後は、どれがどうなっているのか見落とさないように、目を皿のようにして読んだ。さて、名作か?いや、迷作とも…。ユニークな犯罪小説であることは間違いないだろう。2016/01/21

まふ

101
オクスフォード大出身の男が性欲と財欲とを満たすために手段を択ばず社会を泳ぎ渡るが、ボロを出して南米に高跳びする、それを政府間協定により強制送還させようとする、というスジ書き。読んでいて愉快ではないため、途中で放棄しようかとも思ったが、やむなく完読した。マイケル・ディブディンの作品としては最後のキメもゆるく期待外れ。オクスフォード大出身者(作者は違うが)にもこんな落ちこぼれがいることを言いたいのか、悪知恵がさすがに働くことを言いたいのか、「読んで損をした」気がする作品。G1000の選択ミスの一つ。2023/07/20

セウテス

86
語学教師の私が、供述書の形で語る犯罪小説である。知り合いの会計士の妻カレンと不倫をしていたら、夫の会計士が死亡。2人は結婚し海外に移り、この供述書を書いているという設定だ。最初は倒叙ミステリかと思い、かなり慎重に彼の言葉を確認していたが、本作は彼の主観で作られた言い分に過ぎない。真相を謎解く事は出来ない上に、彼の性格に難が有り過ぎて、嫌悪感しか生まない。オックスフォード、ひいてはイギリスの格差社会に対する、彼の執拗な意見の繰り返しが社会派小説と言う事か。なんだろうなぁ正直つまらない、賛否両論あるだろうが。2020/02/22

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