内容説明
1920年代のロンドンで、味気ない日常生活に押し流されている主婦ロッティは、ふと目にした新聞広告に心を奪われる。それは“地中海に面したイタリアの古城を4月いっぱい貸し出す”というもの。そこで、いつも教会で見かけるアーバスノット夫人に声をかけ、さらに家賃を浮かせるため二人の女性を同行者に加えて、ついにイタリアでの生活をスタート。やがて、花と光あふれる城は彼女たちの心を、それまでの問題から徐々に解き放っていく…。夢のようなバカンスを通して、新しい自分に生まれ変わる女性たちの姿を描く映画原作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tamako
7
片山広子の「まどはしの四月」に書かれたあらすじで興味を持って。第一次世界大戦後の束の間の平和の中で、ひょんなことからイタリアの古城を借りて1ヶ月暮らす女性4人とその夫たち。花と陽光溢れるイタリアで、日常の煩わしさから解放されて自我や思いやりが芽生えていく登場人物たちの様子がとても良い。ケチで偏食で不機嫌なメラーシュが、後半は謙虚で機転の利く営業マン的ナイスガイぶりを発揮してて素敵。そしてキャロラインの咄嗟の機転がカッコいい! なぜスクラップなんてあだ名なんだろうか。本書が当時ベストセラーになったのも納得。2025/05/05
きりぱい
7
ロンドンの中流家庭の主婦が、一ヶ月イタリアの古城貸しますとの新聞広告を見つけ・・なんてあらましにそそられたのは片山廣子の随筆。大正時代に読んだらしいそれは『エンチャンテッド・エプリル(まどわしの四月)』とあったけれど、映画になったタイトルのこれを見つける。はしがきで著者がキャサリン・マンスフィールドの従姉妹と知って驚き!そうして物語は、同行者を募り、一緒に過ごすことになった4人の女性の心の小競り合いも愉快に、古城の魔法がこちらの心までほどいていく。「暖かさがポツリと染み出す」とても素敵なお話。2011/03/11
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