扶桑社ミステリー<br> 黒い天使の目の前で

扶桑社ミステリー
黒い天使の目の前で

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  • サイズ 文庫判/ページ数 367p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784594009205
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

ハーバートの飼い猫が、ある日人間の指をくわえて帰って来た。驚いたハーバートは指に残っていたリングを手掛かりに指の主を探そうとするが…。「猫が引きずりこんだもの」老人ホームに入っている母親の費用に苦慮するマンダヴィル。家を売るため10年振りに故郷へ戻って来た。が、彼の母は5年前に既に死亡していた。「黒い天使の目の前で」他に、老夫婦を引き取った夫妻の生活のきしみ「うちにいる老人たち」や友人からの嫌がらせで破滅する男「仲間外れ」など人間の弱さと愚かさを描く11篇のハイスミス・ワールド。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

内島菫

19
「わたしはおまえの人生を軽蔑する」「エンマC号の夢」「ローマにいる時は」に中だるみを感じたが、わざとらしくない何とも言えず嫌な感じのところで切ったり寸止めしたりするのがうまいと感じた。「訳者あとがき」にあった「登場人物の心理にスポットを当て、人格を詳細に描き出し、心理的不安の要素の分析に重点を置いてい」るという印象はあまり受けなかった。心理というより、不安な状況を一定のパターンのうちに作り上げ、別にやらなくてもいいことをやってしまうことによって追い詰められてゆく人々の現実的な不条理劇のように思う。2020/03/08

林 一歩

11
ハイスミス女史の短編集。愉しい物語は皆無。「仲間外れ」がフェイバリット。こんな知り合いは欲しくない。2013/03/03

Panja Morimoto

4
パトリシア・ハイスミスというとミステリ作家だと思っていたけど読んでみたらアーウィン・ショフ風味の「アメリカ中産階級の憂鬱」と言った風情の短編集だった。巻末解説を読んで「太陽がいっぱい」の原作者だと言うことを初めて知った。知らなかった! 2019/01/31

小物M2

3
ハイスミスの短編集は初めて読んだが、これは切れ味の鋭い毒のナイフだった。明確な結末がある訳でもない。しかし、読み終わったら嫌な毒が全体に回って眩暈がする。悪意は身近に存在することを実感させられた。ベストを選ぶなら「凧」。死んだ妹のために凧を上げようとする少年。幻想的な光景から冷酷に叩き落とされる。他には、友人だと思っていた仲間に追い込まれ、全てを失い破滅する「仲間外れ」。タイトルが的確すぎる「わたしはおまえの人生を軽蔑する」。過去の出来事はみんなのものだ。それを壊すのは許されない「黒い家」。2016/01/06

h

2
「アルバートが行きたがったので、二回彼を連れて行ったが、一度、ハーバートが近くのトイレを指し示すより早く待合室で小便を漏らしてしまった(耳が遠いため、アルバートは人のいうことを理解するのに時間がかかった)。以後、ロイスもハーバートも彼を連れて行くことをきっぱりと断った。同情を示しつつも、実際には非常に厳しく、公共の場で急いでトイレに行かねばならない危険を冒すべきではない、と告げた。ロイスがその点について話している間、アルバートは補聴器を外していた。話を聞きたくない時のアルバートのやり方だった。」2015/03/29

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