内容説明
海軍次官補ブレット・ルイスは、いずれは政界に出て、大統領になろうという野心をもっている。そのためには役にたたない妻セーラを「始末」するしかない、そうブレットは考えた。しかし離婚すれば、この政治の街ワシントンではすべてを失うことになる。妻への愛を装いながら、ブレットの冷酷な計画は、結婚20周年記念のパーティに向けて刻一刻と進んでゆく―。『恐怖の誕生パーティ』『マンハッタン連続殺人』で知られるサスペンスの鬼才が贈る、異色の犯罪スリラー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
22
白石朗訳。完全犯罪で妻殺しを企む男の側から描きながら全計画はなかなか読者にも見せず、アイラ・レヴィン「死の接吻」中年版という趣。1992/02/02
nori
7
『恐怖の誕生パーティ』が良かったので、続けてその2年後執筆のこの作品をワクワクしながら手にしました。上昇志向の国防省次官補のブレッド。より高官を目指すにはただ穏やかなだけの妻では役に立たないと指摘され、離婚の醜聞無しに如何に妻を亡き者にするかの驚くべき計画を立てる。次々とその計画が実行されるがどんでん返しのどんでん返し。悪知恵は限りなく想像を絶する。うーん🧐良く出来た作品で面白かったし、丁寧な文章と練られた構成。是非手に取って欲しいのですが…。『恐怖の〜』に続けて直ぐ読むのはお薦めしません…笑2024/04/08
bapaksejahtera
7
カッツの作品は数作読んだ。幻視する子供や臨死体験、狂気の形成外科医などオカルトめいた作風で色物作家として面白いと注目したが本作には強く失望した。野心的な海軍省の役人が更なる政治的栄達を求め20年連れ添った妻を殺そうとする。著者は読者を欺き意外な人物に犯人に仕立て有罪に導くのだが結局は自滅するという物。この冤罪誘導では主人公の社会的評価は低下こそするが高まることはない。裁判では証拠開示請求も通告も無い検察証拠が飛び出してこれが決め手となる。死刑囚が「刑務所」に入るのも笑止だ。刑を務める所が刑務所なのだから。2020/11/23