内容説明
一枚の遺言状が青年の運命を変えた―。東部に住む大富豪オッペンランダー老人の全遺産を相続した末孫ランス・タイナーがこのシアトルで行方不明になった。われらが私立探偵トーマス・ブラックの手で一度は無事保護されたものの、二度目に発見されたときには彼は冷たい射殺死体となりはてていた。そもそもは失踪人調査だけのつもりだったが、ブラックは家族にさえうとまれていたランスにいたく同情し、仕事抜きで事件の真相をさぐろうと思い立つ。ブラックはかつてランスが暮らしていたポバティ・ベイ、その名も「貧者の入り江」という浮浪者の街を訪れる。しかし一瞬早く、関係者の口を封じる殺人が発生した―。私立探偵の新風、〈ソフトボイルド〉を目指すエマースンの意欲作。