内容説明
精神科医キャロル・トレーシーが車でひとりの美しい少女をはねたのは、期待していた養子縁組が延期された直後のことだった。ショックで記憶喪失となった少女はキャロルに引きとられて、記憶を呼び戻すための催眠療法を受けることになった。ある日突然、少女はだれかの名前を呼んだ。同時に激しい苦痛に襲われながら、さらに別の二人の名前を呼び続けた。炎にまかれ、首を切断され、脇腹に斧を打ちこまれる。たて続けに起こる無惨な出来事。少女はいったい何者なのか?さらに家をゆるがすポルターガイスト。少女の周辺で起こるすべての出来事は、不吉で邪悪なものの存在を予感させた。全篇を恐怖の衝撃が走る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
散文の詞
37
プロローグを読んだだけで、これから起こるであろうことが想像できます。 主人公が、少女と出会うのが、プロローグに登場する少女ではないことはわかるんですが、何らかの関係があるのだろうと思わせるとか、その少女の周りに不吉で邪悪なものの存在を予感させたり、この作家の職人技ともいえる描写が全体の恐怖感を盛り上げます。 ただ、この作家、ハッピーエンドが多のですが、今回は。 2019/10/24
Yu。
22
一体彼女に何が隠されているのか。。。突如始まるポルターガイスト現象、優しかった飼い猫の変貌ぶり、そして真相を追う毎に…。記憶を無くした少女の出現により、主人公と周りの者達に災いがもたらされる呪いのホラーサスペンス。ラストでジャジャーンと種明かしされるが、そんなのみんな途中で気づいてしまうという、ほぼストレートな味付けもたまにはいいかな、と。怪奇なスリリングさを欲し、それで最後はハッピーエンドを望むという方にはオススメ。2016/05/26
KANEO
15
雨の日に突然路上に現れた記憶喪失の金髪の美少女。外傷はほとんどないものの彼女を轢いてしまった主人公夫妻は身寄りのない彼女を引き取ることにするが、その前後から悪夢や奇妙な現象や発生しはじめ…。 ポルターガイスト、輪廻転生、その度に繰り返される母と娘のすれ違いによる不和、死者からの警告等々、様々な怪奇が詰め込まれ、アメリカのモダンホラーっていうのはこういうものなんだと何となくだけどわかるような作品だった。 どうしても尻切れ蜻蛉感の否めない終幕ではあるが、ホラーっていうのはそれでいいんだと思う。2015/06/30
虎師匠
8
再読。身元不明、記憶喪失の少女を引き取った事から、過去からの恐るべき怨讐と因縁に翻弄される事になるヒロインの恐怖と苦難を描く、ホラーテイストのかなり強いサスペンス。繰り返し挿入される過去の惨殺や怨念のフラッシュバックはどれも強烈、鮮烈なものばかり。意味在りげなタイトル、中盤に入る辺りの展開から勘の良い読者ならばおおよその真相は予想がつくものの、比較的単純なプロットである分その剛腕そのものの筆力、強力なストーリーテリングに圧倒されっぱなしで読み終える事が出来るだろう。(以下コメ欄にて)2014/10/03
Tetchy
4
クーンツは私に云わせれば、モダン・ホラー界のジョン・ディクスン・カーだという方が最も的を射ていると思う。それほど当り外れの激しい作家なのだ。今回はその例に準えれば外れになろう。展開は凡庸でクーンツならではという特徴がない。作者自身も書いてて面白くなくなったのだろうか、意外にあっさりと片付けられ、しかも唐突に迎えるあのエンディング。正直消化不足ではないだろうか。邦題もよくよく考えれば的外れでもある。2009/06/23
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