内容説明
不思議な機能を持ったワード・プロセッサと、それを手に入れた男の運命を描いた表題作『神々のワード・プロセッサ』、テレポーテーションされる少年の恐怖を描いたSF『ジョウント』、そして、猿のシンバルの音にこめられた死の影『猿とシンバル』など、ホラー王キングの短編集待望の登場!!詩1編を含む恐怖と戦慄の6編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
132
本書は『骸骨乗組員』、『ミルクマン』の三冊で構成される『スケルトン・クルー』の中の1冊なのだが、共通したテーマを備えた短編集だと感じた。それは狂気。本書の各編に登場する人物はなにがしかの狂気を抱いている。ただこれらの狂気は誰しもが抱えている狂気のように思える。決して特別な狂気ではない。ストレス社会と云える現代ではこれら登場人物が囚われる狂気は我々もまた持ちうるのだ。そう考えるとあながち本書に収められている狂気の物語は単に作り話として通り過ぎるのが出来ないほど、心に留まり続ける、そんな風に思えてならない。2019/02/10
つきかげ🌙
36
長い時間がかかりましたが、ようやく読了。短編毎に印象が異なる。表題の神々のワードプロセッサはブラックであるが、ファンタジーっぽかった。最後の猿とシンバルは・・・単なる猿のおもちゃがどうしてこんなに怖いのか、キングの長編の雰囲気を感じられる1編だった。2017/11/22
ニミッツクラス
33
89年(平成元年)の税抜466円の文庫4刷。初版前年だから一年で4刷まで躍進…さすがキング。米85年の底本“スケルトン・クルー”を本邦で3分冊した2巻目。80~85年の6編を収録。巻頭の「パラノイドの唄」は詩編。2作目の表題作は別の意味で懐かしい…職場の和文タイプがワープロに変わった時にはマジ嬉しかった。「オットー伯父さん…」は田舎の確執クライムが原点。「ジョウント」は唸る…語源はベスターの『虎よ、虎よ!』の中のテレポートの造語で、超能力でもメカ的にでもホラー作家なら一度は書いてみたいネタだ。★★★★☆☆2024/02/26
林 一歩
26
”しなやかな銃弾のバラード”の狂気は、台所やトイレといった何気ない日常に潜む狂気であり、個人的にはかなり怖いお話しです。2013/10/06
**くま**
20
これはレベルが高い、いい短編集でした。ホラーあり、SFあり。ちょっとネタは古臭いのですが(実際古い作品です)、長く記憶に残りそうな印象的な短編が揃っています。古くてもいいものはいいからね。80年代のいきいきしたキャッチーさが感じられます。表題作は元祖デスノートみたいな作品ですが、短編なのでサラッとしてます。とても面白かったのでぜひ長編で読みたかったけど、短編だからこそ傑作になったのかな? あとは「猿とシンバル」がストーリーは単純なのに映像が頭に鮮やかに浮かぶ感じで、やっぱりキング上手いな~と思いました。2014/08/11