内容説明
夏休み、ぼくは1人で新幹線に乗っておばさんのうちへ出発した。1人で出かけるの初めでだから、大冒険旅行のスタートだ。荷物は夏休みの宿題と着がえと恐竜図鑑だけ。おばさんちのある海辺の町では、なんだか妙なものが目についた。道路に遮断機があったり、避難訓練をしていたり…。この町には原子力発電所があって、地元の反対派と発電所側との対立が激しくなっているようなのだ。知りあいになった万屋のおばあちゃんがふうせんをいっぱい持っていた。おばあちゃんは「こうやってヘリウムを入れてな…」と、ふうせんを空に飛ばした。「死の灰が風に乗って、どこまで飛んだかの目印にするんじゃ。」そして、ついて、〈ふうせん〉の飛ぶ日がやってきた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
59
タイトルや絵の雰囲気とは全くちがって、シリアスに恐怖を描く作品。児童文学としてはおそらくなかったテーマだろう。1992年の発行であるが、2011年をまるで予言していたかのような内容になっている。小学生のどかな夏休みの一人旅が発電所の爆発で暗転し、パニック状態になった人々の姿をひたすら描く。知り合った子どもたちや「ぼく」が助かるかどうか、最後まで描かないのが、かえってリアルだ。2020/01/13
みー
12
他館より。原子力発電所を狙ったテロが起きた!!!メルトダウン・一気に広がる放射能汚染。今の情勢を考えると全身鳥肌が立つ!!物語だと思えない!!犠牲になるのは、一般市民であり、子供達。終わり方も・・・原子が暴走を始めた世界は、決してハッピーエンドにならないのだと、痛切に訴えている。児童書だが、読み終わった後・・恐怖が全身を駆け巡り、暫く震えが止まらなかった・・是非、「地震絵日記」と共に読んでもらいたい。そして、この本があまり知られていないことが残念でならない。2017/04/21
-
- 和書
- オランダ坂 - 句集