内容説明
「としょかんって、なんだ?」文字が読めないキツネは、図書館や本がどんなものなのか、しりませんでした。けれどネズミがだしてくれた絵本はなんだかおもしろそうです。キツネはいすにすわると絵本をひらきました―。本がむすんでくれたネズミとキツネのあたらしい関係。
著者等紹介
パウリ,ローレンツ[パウリ,ローレンツ] [Pauli,Lorenz]
1967年、スイス生まれ。銀行勤めの後、1989年より幼稚園の教諭として働き、1993年より詩や朗読劇、本を発表して活躍する。カトリーン・シェーラーとの絵本『おばあちゃん、エマ、ママ』(未邦訳)で、IBBYオナーリストに選ばれている
シェーラー,カトリーン[シェーラー,カトリーン] [Sch¨arer,Kathrin]
1969年、スイス生まれ。美術教師を経て、ことばに障害のある子ども達に美術を教えながら、フリーのイラストレーターとして活躍
若松宣子[ワカマツノリコ]
1973年、神奈川県生まれ。中央大学大学院独文学専攻博士課程修了。現在、中央大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
335
文のローレンツ・パウリも絵のカトリーン・シェーラーも共にスイス生まれ。このコンビで何冊かの絵本を上梓しているようだ。想定されている年齢がよくわからないが、小学校の低学年くらいか。というのは、お話はシンプルなのだが、図書館の利用の仕方を教示しようという内容だからである。察するところ、本書の生命はお話よりも絵にあるようだ。主人公のネズミもキツネも大胆な線と色彩および構図で存在を大いにアピールしているからである。とりわけ、とぼけた味わいのキツネに共感できれば絵本としては成功か。2023/08/10
匠
155
ネズミをいつものように追い掛け回しているうち図書館に入り込んだキツネが、図書館というものをネズミから教えられ、本を読む楽しさを知っていくお話。この作品の中では、キツネは字を読めないがネズミは読めるという設定で。本を読んで理知を備えた者と本能の赴くままの者の対比、天敵同士であっても本を読むという知的行為を共有しあうことで仲良くなっていけることなど、世界や社会に対しての比喩であるとも受け取れた。また、日中でなく誰もいない夜を舞台にしたのも、ファンタジー色と静寂感が色濃く感じられてとても良かった。2014/06/23
☆よいこ
81
絵本。図書館オリエンテーション向き▽夕方、キツネに追いかけられたネズミは図書館の中へ逃げ込んだ。「しーっ、しずかに!ここはとくべつなところなんだから、しずかにして!」「ほんって、すごいよ。いろんなことが わかるんだから」ネズミはキツネに図書館の魅力と本の素晴らしさを教える。次の日、ニワトリを咥えて図書館にやってきたキツネは百科事典を読む。ネズミはキツネに本を読んであげる▽図書館と出会い本を読む楽しさを教えてくれる。2013年刊2024/06/01
hirune
81
ネズミを捕まえようとして夜の図書館に入ったキツネはネズミから絵本を見ることを教えられる。そして捕ってきたニワトリにも字を読むことを教わり、読書仲間になる。じゃあキツネは何を食べるのか?を気にする私は無粋な人間なのね☆でも気になるんだもん…玉子かな??2014/12/16
サク
75
世界には十分な教育を受けられず就きたいと思った仕事にもつけず悪知識をもった人達に騙され、いいように動かされている人がいったい何千万人いるのだろうか。狐や鶏は教育を受けられない民衆の代表を表現していると思う。いじめを考える絵本『おおきなあな』が浮かぶ。騙されても尚、生活のために働かなければ生きていけない民衆の無知という『あな』に落ちていることに胸を痛める。全ての人に『教育』を。本は私達に多くの知識と希望をくれる。この世の中の仕組みを具体的に教え進むべき道を示してくれる。賢くなって良き人格者に成長してほしい。2015/04/28