出版社内容情報
たった一輪のバラのために獣と暮らすはめになった美しい娘。気立ての良さと深い愛情から魔法はとかれ、獣は美しい王子に戻ります。幻想的な絵で遥かな世界へといざないます。
6歳から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
匠
135
ボーモン夫人版の原作を読む前と読んでからと二度再読してみた。大人っぽい事情はだいぶ端折ってあったものの、良い意味でディズニーとはまったく違う展開がとても味わい深かった。それになにしろエロール・ル・カインの挿絵が隅々まで美しく、微細な部分までじっくり見たくなる。ただ翻訳上仕方ないのかもだけど、野獣から大切にされる娘が「キレイさん」で、彼女のイジワルな姉ふたりも「ツントさん」「ケチイさん」っていうのが、なんとかならなかったのかと思ってしまう。でも心の美しさをテーマにした、子どもにもわかりやすい絵本だと思う。2014/07/23
ヴェネツィア
122
原話は18世紀フランスのヴィルヌーヴ夫人によるもの(ただし、現在普及しているのは、同じく18世紀フランスのボーモン版)。本書はローズマリー・ハリスの再話。ほぼ原話通りのようだ。3人娘の3女が活躍するのは、昔話の常道。日本民話の猿婿入り(地方によっては異なる伝承も)も、サンドリヨン(2人の姉は継母の娘だが)もそうだ。また、娘の真実の愛によって呪いがとけるというのも王道。今回のル・カインの絵は、表面に薄墨をかけたようなタッチ。また、繊細な線描タイプではなく、もう少しマッスな絵画風。これもまた独特の美しさだ。2013/12/25
KAZOO
110
エロール・ル・カインつながりでの図書館から借りてきて読みました。この話はディズニーのアニメと最近の実写版あるいは昔の実写版など様々に映画化されていますが、やはり、ル・カインの絵のきれいな感じはこの話にぴったりでした。名前が愉快ですね。主人公は「キレイ」さんです。2017/07/02
♪みどりpiyopiyo♪
61
むかし金持ちの商人が、3人のむすめとともに暮らしていました。ある日、思いがけなく運命が変わる日がやってきて… ■これもエロール・ル・カインの絵本。「エキゾチックな西洋」を描かせたら当代きっての名手です。■彼は、神話や伝説、昔話を沢山絵本にしてますが、この本も良かった。登場人物の呼び名も、原語で読む際の本来の感覚を味わえます。この本の野獣は、これまでの本のような 牛のような野獣ではなく、より人間に近いものとして描かれていて、信頼される喜びと見捨てられる悲しさを切々と訴える様が胸に迫ります。(1979年)2018/09/22
みずたま
30
美女と野獣2冊借り。ル・カインの絵は芸術的で絵画のよう。中世の華麗な世界が美しい。キレイさん、ケダモノといった呼称、時代を感じさせる古典的な翻訳。ストーリーの微妙な違いも比較して読むと面白い。ル・カインのイラストの方が野獣が醜くて恐ろしい。大人が楽しむ絵本。2015/04/19