感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
288
著者のトミー・デ・パオラはアメリカ在住の絵本作家。イタリア系のカトリックの人だと思われる。絵本の宗教的背景にはフランチェスコ会のイメージが濃厚である。パオラは、この絵本を描くにあたって、初期ルネサンスを綿密に調査したようだ。パステル画なので、油絵やテンペラ画のような深みや輝きには欠けるが、フォルムは背景を含めてルネサンス色で埋め尽くされている。最後に描かれる奇跡もさりげなく天国への誘いを語る。キリスト教系の子ども園の読み聞かせには最適か。2024/05/28
KAZOO
146
この人の絵本は初めてなのですが結構日本でも出版されているようですね。お気に入りさんの感想と表紙の絵が非常に色合いとか人物造形が私のフィーリングにあったので図書館で借りてきました。イタリアのソレントでの物語で、道化師が子供のころから年寄りになって最後は・・・。最後の場面ではフランダースの犬を思い出してしまいほろっとさせられました。絵が素朴観があふれていていい感じです。2016/09/23
minami
35
小学校の読み聞かせに行ってきました。イタリアのソレントを舞台に、ルネサンス初期の頃のものと設定したお話です。みなしごであるジョバンニが得意技の芸(何でも空中に投げ上げてくるくる回す)で旅芸人となり、その一生の物語。絵がとても素敵です。クリスマスの時期に合いますが、今の時代だと宗教色を強く感じるかもしれません。でも私は好きなんです。初めてこの絵本に出合ったときは、心がしんとなりました。クリスマスって、‘ケーキを食べる日’ではないのね、と再確認した次第です。2019/11/21
小夜風
30
【図書館】何だろう…涙がこぼれてしまいました。クリスマスとはイエス様の生誕を祝う日なのだと思い出させる…。この絵本を読むまでそんなことも忘れてる日本人の自分…。トミー・デ・パオラの描く優しく穏やかな絵がとても素敵です。フランスに古くから伝わる民話だそう。ジョバンニはきっと幸せだったよね。2014/12/28
みさどん
21
人生の振り返りや一生の歩みといったテーマがあるし、宗教色が強いので、子どもにはどうかなと思う。逆に大人が読むと考えさせられる。できることや特技だけでずっとは暮らしていけない、人間、変わらなくちゃいけない。そんなことを突き付けられるストーリー。日本にはなかった教会は、日本のお寺よりもっと存在意義があったのだと思える。年老いて郷里に帰り、教会に安寧を求めるジョバンニ。好きなことをずっとしてきて、最後は神を微笑ませたけれど、孤独だった彼は幸せだったと言えるのかな。2016/09/04