出版社内容情報
魔法使いの呪文で、王と王妃は子どもをさずかりますが、魔法使いとの約束を守らなかったため、ロバの子どもが生まれてしまいます。王と王妃にうとまれたロバの王子は1人城を出て行きますが……。
4・5歳から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
匠
149
子宝に恵まれない王と王妃が魔法使いとの約束を破ったがために、ロバの姿で生れてしまった王子。どんなに立派に王子の役目を果たしても、両親からいっこうに愛されない彼は悲しみのあまり城を飛び出し、真の愛を探し求める旅をする。テーマとしては『美女と野獣』とほぼ同じだが、恋愛だけじゃない分こちらのほうが内容はさらに奥深い。またバーバラ・クーニーの絵がノスタルジックで優しい。ようやくめぐり逢えた相手と結婚で終わらず、王子の親たちとは逆にたくさんの子どもができたところまで描いてることに実は一番の意味があると思った。2014/07/29
masa@レビューお休み中
130
これは衝撃の物語ですね。終わりがどこに向かっているのかわからないまま、物語だけが進んでいく。そんな妙な恐さがあるんですよね。ロバの王子は、不幸の塊のようなかわいそうな主人公なのです。お父さんは王様、お母さんはお妃様であるのに、全然愛されていないのです。王様もお妃様も、かわいいのは自分のことだけ。しかも、子どもが欲しいがために魔法使いに頼んで子どもを授けてもらうのですが…。なにをしてもふりむいてもらえない。なにを言っても愛してもらえない、ロバの王子を見ていると、同情を通り越して、愛情すら湧いてきます。2014/11/05
ままこ
92
さすらいのリュート弾きになったロバの王子の物語。彼が奏でるリュートと歌を聴いてみたいなぁ。ノスタルジックで可愛い絵が素敵なグリム童話の再話。2020/06/26
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
83
グリム童話をバーバラ・クーニーさんの美しい絵で読める絵本。金勘定が生き甲斐の王と着飾る事が何より好きな女王。二人に足りないのは跡継ぎの子供。魔法使いと赤ん坊を授かる契約をしますが、謝礼を誤魔化したため王子はロバの姿で生まれます。嘲笑と孤独の日々。両親に疎まれた彼は城を出て、別の国の王族に身を寄せます。故郷で学んだリュートの旋律と彼の優しさが王女に好まれたのです。でも彼女に求愛する者達が現れ、穏やかな日々は終わります。王子は封印していた別れの歌を奏でるのですが……。王女には王子の真の姿が見えていたのですね。2015/06/29
Willie the Wildcat
59
外見ではなく内面。目を閉じて、心に問う。自身の運命を悲しむことなく、前を向く。無視の心は、伝わる。愛情のあり方・・・。絵は、中世の油絵が基調。闇夜の月に向かって歌う姿に哀愁。庭師の優しい笑顔も印象的。もしかして魔法使いは、(意地悪な気持ちだけではなく)人間の愛の心を信じていたんじゃないかなぁ・・・。2013/11/17