出版社内容情報
8歳の夏、セルジュはオペラ座で母・パイヴァに出会う。だが彼女にはパトロンのガルジェレ侯爵がいた。2人の恋の炎が子爵家、親友を巻き込み燃えさかる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アイアイ
14
クルティザーヌ高級娼婦だった母、子爵の父の身分違いの燃える愛。セルジュの両親の話は切ないけど風と木の詩の中で何度でも読みたい物語です。本編は1度読むと、全エネルギー使い果たしちゃう(^◇^;)4歳の子の目に平手打ちする伯母が最低。▷図書館2016/03/11
セシル
14
【長文ご注意です!】ひたすら切ない…。まるで悲恋を暗示するが如く、オペラ『椿姫』を観劇中にアスランと高級娼婦・パイヴァは出会い恋に落ちる。自分の夢を諦め家風を優先してきたアスランにとってパイヴァは初めて全てを犠牲にしても自らの手で掴みたい女性でした。身分差の壁を乗り越える二人の恋愛に熱くなり、幸せを心から応援したくなりました。セルジュの真っ直ぐで向う見ずな情熱はこの親だからこそなのね…と実感。一つ得たら何かを失う現実が、とても悲しかったです…。(※小説『椿姫』も実話を基にしていて号泣ものですね…)続く→2010/09/22
フロリゲン
11
アスランは周りの人々を幸せにすることに心を砕いていたが、クルチザンヌ(高級娼婦)でありジプシーの血を引くパイヴァに一目惚れしてから自分自身の人生を生きたいと強く思うようになる。誰かのものではなく、与えられたものではない、自分の人生を。子爵という立場からアスランは深く苦悩するが、周りの人々を苦しませることになっても自分の心に正直に生きることを決め、パイヴァ以外の一切を振り捨てて一個人としての人生を歩み始める。自分の心に正直であるために自分に出来るだけのことをし、まっすぐに生きるアスラン。思わず泣いちゃった。2015/05/05
ゆあん
10
図書館にて。ココットとにコケットリーって世界がいいなぁ。パイヴァはかわいいし、アスランが始めて自分の気持ちを優先させた出来事だというのも理解は出来るし、あぁ愛の逃避行!でわくわくドキドキでよかったんですけど、やっぱりあなた寿命が短いとわかっていたよね?と思うとうーん…パイヴァやセルジュ、死んだお父さんがかわいそう…半ば向かえやっぱり名作はおもしろい!読みごたえあんなぁ!2014/10/11
文句有蔵
6
すっかり大人になってしまって再読することの愉しみを思う。昔読んだ時には、流行りのお耽美にうっとりしたものだが、今思うにアスランは無責任が過ぎる。恋を選ぶ代償に、自分以外の誰かに掛ける迷惑、流す涙を承知で駆け落ちすること自体は、それが恋というものなら仕方もないが、自分が結核だと知っていてのことなら話が違う。どうせ短い命なら、お人形でいるよりも思う様生きたかった、という視点も見えてくる。それに振り回されたパイヴァが気の毒でならない。残されたセルジュは尚更。2014/09/25