出版社内容情報
老舗の料理屋の主だった夫の急死で、お駒は妻恋稲荷横の表長屋に一人越してきた。大家に頼まれ祭りのお稲荷さんを作ったのをきっかけに、夫の味を思い出しながら煮売屋を始める。下町の人情料理帖。
2016年1月刊。
内容説明
江戸は妻恋町の五軒長屋の一角に、一軒の煮売屋が店開きした。看板メニューは稲荷寿司と日替わりのお惣菜。人々の舌をほっと和ませる店主・駒の味は、亡き夫から伝授されたものだった。素材の味を生かし、余すことなく使い切ることで料理と向き合う日々を過ごすうち、駒は少しずつ夫を失った哀しみから立ち直っていく。美味と感涙の文庫書き下ろし。
著者等紹介
五十嵐佳子[イガラシケイコ]
山形県出身。ライター、作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶんこ
55
相思相愛の夫婦だった春吉と駒だったが、春吉が突然病死。嫁いだ料理屋「松金」を出て妻恋稲荷神社の前の表長屋で煮売屋を始めます。食材を無駄なく使い切る駒、骨惜しみなく働く駒に、読んでいて愛着が湧いて肩入れしたくなってました。アイデア豊富で楽しく働く姿が爽やかです。久しぶりに主人公に惚れてしまうキャラなのが嬉しくなっちゃいました。稲荷寿しと芋天食べたい。続きがあるのでしょうか。もっと読みたいです。2018/05/25
真理そら
51
出てくる食べ物も人物もみんないい。この文庫のシリーズは好きなのに続編が出ないのが悲しい。長屋の人に押し切られる形で作り始めた稲荷ずしもきつね煎餅も駒のやる気でうまくいくようになった。このあたりがあまりにも順調すぎる気がしないでもないけど、疲れた気分の時に読むとホッとする。義弟嫁・ふじは駒に対していじわるだけれど、おふじさんの立場ならそういう心境になるのも仕方ないよね、と納得してしまう。料理にも料理屋にも素人の弟夫婦で今後の「松金」は大丈夫だろうかと心配したくなる。2019/05/23
kagetrasama-aoi(葵・橘)
35
「妻恋稲荷煮売屋ごよみ」最愛の夫をなくし、失意のどん底から、夫の残したレシピと生前の教えを頼りに料理を作ることによって、生き甲斐を取り戻して行くお話。主人公のお駒(元芸者)の頑張りが光ります。取り巻く人が皆良い人で安心して読めました。唯一、夫の弟嫁ふじとの確執があるけど、ふじの心情は納得出来る範囲です。ふじが、やや小意地の悪く陰険な性格だけど、あまりに駒が出来すぎの女性なので、対比でそうなるのは仕方ないかもしれませんね。登場する庶民的なお菜は美味しそうでおなかが空きました。続きが読みたい作品です。2023/11/02
むつこ
28
幼い頃に両親を亡くし、置屋で育ててもらって三味線芸者になり出会った料理人の夫を7年目に失い、新天地で暮らし始めるヒロイン・駒がひょんなことから稲荷寿司をメインにした総菜屋を展開するお話。まー、このお駒さん、めちゃくちゃ出来る人で、どっからそんなにアイデアが湧いてくるの?とうまく行き過ぎます。人間関係というか家族関係が複雑さは別として料理小説としてはヨダレものだし、真似できそうなレシピがてんこ盛り、その後が読みたい余韻に浸れます。2020/05/15
ごへいもち
24
続きが読みたいなぁ2023/06/06