出版社内容情報
小物に刺繍を入れる腕の良い女職人の咲と、女たらしのかんざし職人の修次。突如現れた不思議な双子しろとましろに翻弄されながらも二人は、双子が取り持つ縁とそれに絡む謎を解いていく人情物語。
2015年7月刊。
内容説明
小物に手の込んだ刺繍を施す、腕の良い縫箔師である咲。ある日、立ち寄った日本橋で、飛燕の意匠が施された簪に目を奪われる。買おうとしたその時…(「飛燕の簪」)。咲と男前だが女たらしの簪職人の修次は、突如現れた双子「しろ」と「ましろ」に翻弄されながら、刺繍や意匠をきっかけに不思議な縁を紡いでいく。ほろりと泣ける、文庫書き下ろし三編。
著者等紹介
知野みさき[チノミサキ]
1972年生まれ、ミネソタ大学卒業。現在はバンクーバー在住、銀行の内部監査員を務める。2012年『鈴の神さま』でデビュー。同年『妖国の剣士』で第4回角川春樹小説賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ねむねむあくび♪
68
図書館の本。読み終えるのがもったいなかった~(ノ´∀`*)フゥ♪ 冒頭の、小間物屋に品物を届けて、ほぅ…というくだりから、もう夢中!!O(≧∇≦)O(笑)手芸好き女子なら分かる興奮だと思う!( 〃´艸`) 縫箔師(刺繍職人)の咲の、職人としてのプライドが、粋で、格好いい(*^。^*)♪手芸女子や手作り市が好きな人、職人のお話が好きな人にお勧めです!!o(^o^)o2016/04/16
ううち
42
縫箔師の職人技がとても素敵。お咲と修次の掛け合いがテンポ良くて、双子のしろとましろも可愛らしい。キレイにまとまったラストでしたが続きが出たら是非読みたい。2018/07/08
真理そら
42
縫箔師のお咲と錺職人・修次のちゃきちゃきした交流も楽しいが、しろちゃんとましろちゃんが可愛すぎる。まっすぐで気持ちのいい人しか登場しない爽やかな作品。登場人物の中で志郎の雰囲気がいい。次作があればもう少し掘り下げて描いて貰えただろうけれど…2018/04/26
天の川
41
江戸の人情話の連作短編。縫箔師の咲は一人ですっくと立って己が人生を歩む中年増の職人。神狐の化身?のやんちゃで愛らしいしろとましろに導かれるように出くわす箔を施した小物をめぐる物語は、どれも温かみがあって優しい。いなせな錺職人修次との微妙な距離感もまた楽し。シリーズになればいいのにな。しろとましろの可愛いやんちゃぶりに頬が緩みます。2015/12/03
九月猫
40
大好きな「鈴の神様」は小さな可愛い神さまのお話でしたが、こちらのお話には小さな可愛い「お使い」が出てきます。それがしろとましろ。やんちゃで悪戯っ子、そしてどこか不思議な双子が結んでくれる人との出会い・ご縁の連作3話。女の幸せよりも縫箔師として生きることを選んだ咲だけど、人を家族を思い遣る心は深く温かい。錺職人の修次との行く末が気になるけど、この距離感が心地よさそうなのでこのままでもいいような。咲の今後はまだまだ見たい。続編が出ますように。2015/11/03