内容説明
江戸の町には、猫の数だけ物語がある。ある日の貨物屋で「借りたい」と依頼があったのは、白くて尻尾の曲がった子猫。怪しげな連中を追う途中で、ふところに飛び込んできた黒い猫。突然、恋のキューピッド役を買ってでた猫。奉公先の奥方にかけられた猫の化身疑惑―。江戸の町を闊達に猫と人とが駆け巡る。五人の作家が描きだす、文庫書き下ろし作品集。
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年、岡山県生まれ。「バッテリー」シリーズで野間児童文芸賞をはじめ、数々の賞を受賞。2011年『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞
金巻ともこ[カネマキトモコ]
1975年、神奈川県出身。ノベライズ作品を中心に活躍。小説のほか、ゲームのシナリオや漫画原作なども手がけ、活動は多岐にわたる
越水利江子[コシミズリエコ]
高知県生まれ。『風のラヴソング』で文化庁芸術選奨文部大臣新人賞、日本児童文学者協会新人賞を、『あした、出会った少年―花明かりの街で』で日本児童文学文芸家協会賞を受賞
時海結以[トキウミユイ]
長野県生まれ。歴史博物館に勤務ののち、2003年『業多姫』でデビュー
平谷美樹[ヒラヤヨシキ]
1960年、岩手県生まれ。2000年『エンデュミオンエンデュミオン』でデビュー。同年『エリ・エリ』で小松左京賞を受賞。2014年、歴史時代作家クラブ賞・シリーズ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mocha
96
町娘と猫が織り成すファンタジックな人情話5篇。平谷さんは『御掃除之者』が大好きなのだけど、女の子を描くのはあまり得意ではないのかも。ホロリとさせられるお話だった。時海さんのは江戸版『下鴨アンティーク』みたい。無口な市蔵さんの素性が知りたい。金巻さんのは落語のネタに猫を絡めたお話。志ん朝さんの落語が聴きたくなった。あさのさんはサラッとやっつけた印象。若い人向け時代物レーベルらしく、かわいい作品集だった。2018/02/24
ままこ
65
ほっこりさらっと読める猫が関わる五人の作家の時代小説アンソロジー。カバーイラストが川原泉さんなのが嬉しい。続編がある作品もあるようだ。あさのあつこさんの『鈴江藩江戸屋敷見聞帳 にゃん!』の続編はWEB連載されてたようだけど途中はすでに公開終了になってるので紙の本で出版されたら読みたいな。2017/12/07
Comit
55
県立図書~時は江戸時代、猫と人との物語を、当時の暮らしぶりを通して描いた5つのアンソロジー。固いもの、ライトなもの、色々詰まってます(*´艸`)好きなのは、金巻ともこさん『異聞 井戸の茶碗』浪人の娘の恋と猫の恩返し✨平谷美樹さん『貸物屋お庸 貸し猫探し』…な、泣けた😢読了して、自分の読む本の中に猫が登場するものが多いのに気付いた。やっぱり猫が好き?なのかな。猫本の本棚を作ろう(*´艸`)2021/09/12
冴子
40
タイトルに惹かれて買ったまま3年近く積んでありました。猫にまつわるアンソロジーで、あさのあつこさん以外は初読み作家さんでした。最初の貸し物屋お庸の話と井戸の茶碗の話が良かったです。着物憑きお紺はよく解らなかった。この文庫自体が<招き猫文庫>というので、他の本も猫が出てくるのかしら?2017/10/17
baba
36
女性作家五人の猫にまつわる競作。初作家さんも居て、ページ数も少なくチョット物足りない。それぞれ女性が江戸で活き活きと暮らしている。あさのさんの「鈴江藩江戸屋敷見聞帳」は続きが読みたい。2015/03/07