内容説明
わたくしはテレビでございます。むかしはかぐちょうテレビとよばれ、それはそれは、せけんのあこがれでございました。昭和の茶の間で活躍した家具調テレビ。時は移り廃品置き場に捨てられたテレビの運命やいかに―!?アニメーション「ゴールデンタイム」で第17回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門「優秀賞」受賞。二人の作家が作品に新たな命を吹き込んで誕生した絵本。3歳から。
著者等紹介
稲葉卓也[イナバタクヤ]
1976年三重県生まれ。京都精華大学卒業後、2002年より株式会社ロボットに所属。NHK‐BSキャラクター「ななみちゃん」のキャラクターデザイン及びアニメーションをはじめテレビ番組、CM、プロモーションビデオ、絵本などを手がけている
長谷川義史[ハセガワヨシフミ]
1961年大阪府生まれ。絵本作家。『ぼくがラーメンたべてるとき』で2008年小学館児童出版文化賞、他受賞多数。歌に楽器演奏、ライブペイントなど多芸な作家として知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
42
2013年のメディア芸術祭でアニメ部門優秀賞を受賞した『ゴールデンタイム』。廃棄処分されてしまった家具調テレビが、なんとか廃品置き場を脱出しようと悪戦苦闘するうちに、同じく捨てられたおもちゃたちと友情を育むという切なくてハートウォーミングなストーリー。昭和レトロの情緒的で懐かしい雰囲気に満ちています。忘れられたテレビには、意外な第二の【ゴールデンタイム】が待っていました。無声アニメをもとに描きおろした絵本では、長谷川義史さんが文章を入れています(絵は、アニメを制作した株式会社ロボットの稲葉卓也さん)。2014/06/20
anne@灯れ松明の火
27
知人の画家さんが「ボクの絵画教室の教え子が絵本を出したんですよ」とご紹介。原作・絵の稲葉卓也さんがその方。なんでもNHKのキャラクター・”ななみちゃん”もデザインしたのだそうだ。そして、文は長谷川義史さん! これはスゴイ。かつて流行った家具調テレビが廃棄処分されてからの物語。テレビが語り手で、ゴミ仲間のぬいぐるみとの交流も描かれるので、子どもも楽しめるだろうが、どちらかというと大人が懐かしく思う話かもしれない。ラストも実体験に基づく、ほっこりしたものになっている♪ (児童書・絵本で寄付しましょう♪参加中)2014/06/21
けいねこ
20
細かいつっこみをする気が起きたりしない、味のある絵本。長谷川さんって、こういう文も書くんだ!というところが新鮮だった。家具調テレビを知っている世代向けかな。2016/06/28
遠い日
19
懐かしき家具調テレビ。時代とともに使い捨てられ、廃品置き場で探るこれからの身の振り方。まだまだいけると自身では判断するも、どうにもままならない廃品の悲しさ。とても意外な再利用のされかたに驚きとともに、安心も。こんなふうに重宝されるのもなかなかいいもの。テレビ自身の語りは、長谷川義史さんの文章だ。稲葉卓也さんの絵も温かみがあって、いい。2014/07/14
ごまらーゆ
15
なんだかもの悲しい雰囲気が漂うのは、言葉の響きが古いのと色使いのせいか。マットな感じで夜と夕方の空が多い。お話は最後に「めでたしめでたし」なのにどうして憂いを感じるのだろう。流行り物の先頭を追いかけ次々と鞍替えするマスコミの象徴がテレビだと思っているからかもしれない。絵本を読んでこんな印象が残ったのははじめて。2014/07/22