出版社内容情報
見えにくい困難をかかえる子どもたちを描いたヒット作
『きみの存在を意識する』著者の新作
自分の街に白杖の人がいるとは思っていなかった夏鈴が
知らなかった世界であらたな視線、意識を得て、変わっていく物語
* * * * *
夏鈴が電車で見かけた青年は、白杖を使っていたのに、席をゆずられたら、座ってスマホを見はじめた。詐欺? 文句を言おうと話しかけたことから、思わぬ交流が始まる。
夏鈴の祖母は、見えない・聞こえない・話せないヘレン・ケラーを「三重苦」だと言うけれど、盲ろう者だとわかった彼は、そんなふうには見えない。
一方、大好きな親友の茉白は、障害があると対等な友だちにはなれないと言い、夏鈴はその言葉に大きく動揺する。なぜなら──
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
りらこ
23
見えにくい困難をかかえる子どもがいる。 夏鈴はその「見えにくい困難」をかかえている。 本人がそれを自覚しているかどうかは、ちょっとまた違う。 読者は夏鈴の心の動きを読みながら、あれ?そう思うの? そこで?と違和感を感じるだろう。 物語は友人関係、親友、家族のことなど中学生らしい展開になったところで、「やはり夏鈴ちょっと大変かも」と感じてしまう。そして夏鈴自身も動揺しつつある言葉と向き合うことになり・・・ 自他の境界なんて実は存在しないのではないか?障害って誰にでもあるのでは?とさえ思った。 2025/10/17