出版社内容情報
誰もが親を選べないし、
時に誰かに選ばれなくても、
自分自身を祝福していいのだ。
――島本理生(作家)
人はいつかは「誰かの子供」から卒業できる。
今親との関係に悩む人たちに、
そんな希望を与えてくれる物語である。
――瀧井朝世(ライター)
「WEB asta*」2025年10月6日より抜粋
奔放な母と自由になれない娘――やさしいエールに満ちた感動作
うつくしく奔放なシングルマザー・芙美子の娘として育った望。
幼い頃からひとりで寝起きし、
次々変わる芙美子の恋人にあわせて住まいを転々とする日々。
常識を教われず、どこか周囲から浮いてしまう望は、
「普通になりたい」と願いつづけてきた。
気まぐれな芙美子が唯一こだわったのが、毎食スープを飲むこと。
しぶしぶ付き合ってきた望だが、いつしかスープづくりが楽しみに変わる。
やがて、ある人物に恋心を抱いたことがきっかけで、
人生を大きく動かす選択をすることに――。
ままならない人生に立ちすくむすべての人に贈る、「希望」の物語。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
sayuri
37
私は母性神話を信じない。世の中には我が子を可愛く思えない母親だって存在する。それでもだ。せめて子供が子供でいられる間くらいは必要最低限の義務を果たして欲しいと願わずにはいられなかった。自由奔放なシングルマザー・芙美子を母に持つ望が主人公。芙美子は幼稚園児の望をひとり家に置いて外出する。恋人が変わるたびに住む場所を変えていく。幼い望が空気を読み、立ち回る姿に胸が痛くなった。ネグレクトから始まった育児は望の成長に伴い子どもへの依存へと変化する。望が呪いから解放され自分の人生を取り戻せるよう願いながら読了した。2025/11/02
papapapapal
34
唯一の肉親である母親がかなり世間とズレている事を幼い頃から感じ取り、普通に見えるように振る舞ってきた望の物語。望の目線→周りの目線で交互に描かれる。特に幼い頃のお話には胸がキュッとなる。どうにか子どもを守ろうと母親を叱る人、そっと見守り配慮する人、何かを感じ取り側にいる友人、母親から距離を置いた方が良いと言う恋人。どの人も人間臭くて良い。母親にはイライラしっぱなしだったけど、彼女は望にとっての敵ではなく、そこにはそれなりの想いもあって。最後の数ページ、なんとも言えない気持ちで本を閉じた。家族って難しい。2025/12/04
練りようかん
17
目次をみると太字の章が浮き出てるように感じ、読み始めると子である主人公の視点と、子育ての優先順位が低い母子家庭を心配する大人たちの視点の違いだとわかる。母が責められぬよう嘘をつき、普通に憧れる主人公の存在感が視覚表現とマッチして、面白いつくりだと思った。母の汁物習慣が主人公のそれになり、異性関係に奔放な母と全然似ていないはずが不倫して、奇妙なところで繋がってる2人だ。妊娠後呪いと自分について覚悟の言葉が力強く胸に入ってきて、母と汁物の最終章は弱々しく入ってきて、その対比に意表を突かれた。加藤さん素敵。2025/11/13
Hanna
4
題名と表紙絵で手に取りましたが、思っていたのと違いました。私には重くて、なんともいえなさが漂い続けていて。しかし、それこそがこの方の筆力なのでしょう。2025/12/06
ダック
4
破天荒な母・芙美子のことだから望の誕生にも色々あったんだろうなと思っていたのだけれど、私が思っていたのとは違っていて意外だった。ただ素直に生きているだけなのかもしれないけれど、子どもにとってはたまらないよなとも思う。2025/11/24
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