出版社内容情報
生きることの素晴らしさを斬新な視点で描く、野間児童文芸賞著者新作!
「どうしても、一度、生きてみたいと思ったんだ」
主人公は、人間の世界を知らない「魂」。
ある時、ある中学2年生男子の体に飛び込み、季節がひとめぐりする間だけその子として生きることになる。
聞いて憧れていた世界で、最初は見ること、やること、すべてがキラキラしていたけれど、やがて人と交わるうちに、どうしようもできない苦しい気持ちにも襲われ──。
悩みや痛みに苦しんでも、生きたいと思える日常があることが感動とともに伝わってくる、新しい切り口で青春を描いた物語。
内容説明
人間の世界にあこがれた“魂”が、中学生男子の体をのっとった!?「生きてみたかったんだ。一度でいいから」悩みや痛みに苦しんでも、愛おしいと思える日常がある。野間児童文芸賞『杉森くんを殺すには』の著者新作。
著者等紹介
長谷川まりる[ハセガワマリル]
長野県生まれ東京都育ち。『お絵かき禁止の国』で講談社児童文学新人賞佳作、『かすみ川の人魚』で日本児童文学者協会新人賞、『杉森くんを殺すには』で野間児童文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もちこ
30
主人公はいったい何者? 天山ってどんな少年だったの? これからどうなるの? ?マークだらけで物語が進んでいくから、先が気になって仕方ない! 結果、一気読みでした。 全ての謎が解けるのは、最後の最後。 それまで興味を惹きつけて離さない、著者のストーリー運びの上手さに感服。 章立ても粋な演出があって、よかった!2025/06/27
まる子
23
インフルエンザで死んだ(はず)の、絶賛反抗期真っ只中の中学生・天山の体に「名無しの魂」が入って生き返った?!これは、人間として生きる事を望みながらも、ある理由によりそれが叶わない「魂」の物語。でいいのかな?人は生きていれば必ず苦しく、辛い、死んでしまいたいと一度は思のではないだろうか。それでも、天山に乗り移って生きる「魂」は「ほんのかすかな、小さな幸せ」を信じてキツネに懇願した。さて、「魂」は天上に帰るのか。地上の人となるのか。著者まりるさんは「誰にでも生きる権利や価値がある」事を伝えたかったのでは。2025/06/11
柊子
10
なかなか面白かった。でも、運よく素晴らしい人生の人間に当たったが、もし、外れ(一生不幸だった人間)をチョイスしてしまったら、魂くんはどう感じるだろう。それでも、生きることは美しいと思えるかな。いや、きっと思えるのだろう。99%不幸でも、1%の幸せがあれば生きられる! この世は価値がある!!と思うのだろう。だって、そうした前向きさがないと、児童書にはならないから…。それにしても、妻と息子を亡くしたお父さんが気の毒すぎる。この先は幸せな人生を歩んでほしいと願う。2025/06/23
Mayuko Kamiwada
6
人間の世界を知らない「魂」がある時、中学2年生の体に飛び込む。一度、死を迎えたその体に居続けることは季節が一巡りする間だけ。人間の世界の全てがキラキラして、楽しい日々を過ごしていたけれど、人と交流することで楽しい以外の感情も知ることとなり・・・。生きるって楽しいだけでなく、時には苦しさを覚えることがある。その苦しさはできれば経験したくはないけれど、自分を一回り成長させるためのバネなんだと思う。それは生きているからこそ感じることができることなんだと感じた。2025/06/24
遠い日
5
急死した中2男子、天山の体に入り込んだ「魂」。初めて生きるということをやってみる「魂」の変化がいきいきと語られる。人間の暮らし、感情、物珍しく、輝くばかりに美しく映ることごとを楽しんでいた天山だったが、アンビバレンスな思いに囚われていく。生きることにまつわる苦しみが天山を揺さぶる。天山を見守るキツネのことばが厳しく、鞭打つように天山を諫める。季節が一巡りする間だけ、天山として生きるという約束の期限が迫った時に、魂が渾身のことばを吐く。永遠も天国もいらないという叫び。生きることへの渇望が光っていた。2025/06/07
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