出版社内容情報
原田 マハ[ハラダマハ]
著・文・その他
内容説明
香田陽皆は、雑貨店に勤める引っ込み思案な28歳。地元で愛される小さな洋菓子店「スイート・ホーム」を営む、腕利きだけれど不器用なパティシエの父、明るい「看板娘」の母、華やかで積極的な性格の妹との4人暮らしだ。ある男性に恋心を抱いている陽皆だが、なかなか想いを告げられず…。さりげない毎日に潜むたしかな幸せを掬い上げた、心にあたたかく染み入る珠玉の連作短編集。
著者等紹介
原田マハ[ハラダマハ]
1962年、東京都生まれ。85年、関西学院大学卒業。96年、学士入学した早稲田大学卒業。アートコンサルティング、キュレーターを経て、2005年、『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞し、翌年デビュー。12年、『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞を、17年、『リーチ先生』で第36回新田次郎賞文学賞を、18年、『異邦人』で第6回京都本大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
321
宝塚にある郊外型ニュータウンにある『スイート・ホーム』って洋菓子屋さんを軸にした4話連作短篇。4話目は更に5話に分割されていて、8話とも取れる。主人公の女性くるくる交代しながら、時間はビュンビュン過ぎ去るよ。それぞれの女性を主役としながらも、大黒柱はパティシエの香月さんやね。街そのもの、そしてそこに住まう人々も魅力的。洋焼き菓子の様なふんわりとした甘さ、キンモクセイの柔らかな香りに包まれる様な、優しさや人の気持ちに寄り添う様な作品でした( ¨̮ )。2024/03/09
馨
210
読んでいる最中は終始スイーツが食べたくなりました。香田家の皆が良い人で、香田家も、町の人達も皆好きになります。毎年金木犀の木の前で家族写真を撮ってどんどん家族が増える風習も憧れるし、スイートホームみたいにどんな時も行けば温かく迎えてくれるお店がほしい。1番はじめの陽皆ちゃんと旦那さんとの出会いの話が好きです。いっこおばちゃんの同居の話も良かったし、由芽ちゃんの受験の話も良かったです。2022/05/07
ALATA
169
お客様をお見送りするルール。お姿が見えなくなるまでお見送り、そして深々とご挨拶。私に手を振ってくれた…陽皆ちゃん、いい娘だなぁ。オアシスキッチンの未来さん、ハートを刺激するポップコーンのはぜる音に微笑んでしまう。いっこおばちゃん、さくらちゃん次々と家族が増え、いつか、私も、こんな家庭を作りたいと願うはるちゃんの「希望のギフト」も粋だね★5※家に帰ろう~マイ・スィート・ホームをBGMに♬。小泉今日子に竹内まりあ、誰にでも帰りたい家はあるよね😊2023/11/05
ふじさん
139
洋菓子店「スイート・ホーム」を舞台に、家族の幸福をシンプルに描いた心を温かく優しく包みこんでくれるような連作短編集。地域に愛され、皆が集う洋菓子店、腕利きだけど静かな佇まいのパティシエの父、明るい看板娘の母、引っ込み思案の姉、華やかで積極的な性格の妹。それぞれが、様々な思いを抱きながら生きている。姉妹には、微笑ましい恋物語が待っている。又、この家族と関わる人々も個性的で魅力的だ。読んでいて心が癒される、今の時代とは別次元の世界を見ているような錯覚に陥る。人にとっての幸せって何だろう、改めて考える。 2022/07/20
ゴルフ72
124
「子は親の背中を見て育つ」こんな言葉がぴったりな作品だった。不器用だけど父の背中を見て育った姉妹は、素直に育ち「感謝の気持ち」を忘れなかった。宝塚のニュータウンを舞台に小さな洋菓子店が家族を周りの人たちに洋菓子を通して愛を届ける。キンモクセイがキーポイントか⁈2022/06/16