出版社内容情報
高橋 秀実[タカハシヒデミネ]
著・文・その他
内容説明
“道徳の授業はファンタジー?”“ハラスメントはこれで解決!”“ロボットに学ぶ道徳的ふるまい”“恋も官能も道徳ファーストで!”“ヘンな国のヘンな教科”「道徳」の原点に迫る、傑作ルポルタージュ!
目次
50年ぶりの教科書
みんなで「自分」
「だから」の気持ち
ちょっと努力している
カチカチなファンタジー
うらみハラスメント
悪口を言ったのは誰なのか
ビジネスのバイブス
アイ・ラブ・ちゅーりーちゃん
道徳的な現実
はじめてのスマートフォン
リアルと共感
セックスしないふたり
エコバッグ黙示録
あなたは「いい人」ですか?
著者等紹介
〓橋秀実[タカハシヒデミネ]
1961年横浜市生まれ。東京外国語大学モンゴル語学科卒業。テレビ番組制作会社を経て、ノンフィクション作家に。『ご先祖様はどちら様』で第10回小林秀雄賞、『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』で第23回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
100
物事の本質に鋭く切り込む高橋さんに「道徳」は格好の餌食。小学校学習指導要領・道徳編がヤリ玉にあがる:今の道徳は「なぜ」を問う(「なぜ親切にするのか?」「なぜ約束を守るか?」)が、「親切にしよう」「約束を守ろう」でいいではないか。「なぜ」と問うことで却って主観や価値観に踏み込んでいる。「学習指導要領」には「家族愛」「国を愛する」はあるが「人を愛する」とは謳われないなど…。そして、道徳の元は「みんな」であり「間主観」なのだという結論。それが「民主主義とは「みんないい人」という約束事」という虚構に繋がるのかも。2024/05/08
☆よいこ
78
ノンフィクション作家の「道徳」テーマのエッセイ。学校教科「道徳」とはなんぞや?と解説してくれるのかと思いつつ、愉快にツッコミ解説してくれる▽50年ぶりの教科書/みんなで「自分」/「だから」の気持ち/ちょっと努力している/カチカチなファンタジー/うらみハラスメント/悪口を言ったのは誰なのか/ビジネスのバイブス/アイ・ラブ・ちゅーりーちゃん/道徳的な現実/はじめてのスマホ/リアルと共感/セックスしないふたり/エコバッグ黙示録/あなたは「いい人ですか?」/「みんな」の解説▽道徳は間主観。決めつけない▽面白かった2022/10/29
キク
71
僕は総体としての本好き達をすごく信頼していて「結局、売れた本って面白いんだよな」と思っている。でも、髙橋秀実はその面白さのわりには騒がれていない気がする。最初に知ったのは春樹さんの「アンダーグラウンド」に地下鉄サリン被害者の方への取材リサーチャーとして参加したときだった。信頼した人以外とは絶対に仕事をしない春樹さんが、大事な作品でパートナーに選んだ。その高橋が、小中学校で評価対象教科となった道徳について考える。ブルハの「大人たちに褒められるような馬鹿にはなりたくない」って歌詞を思い出した。2023/03/23
がらくたどん
55
道徳が例え所見中心で点数化されないとしても評価基準を備えた教科になった時はため息が出た。で、人気ルポライター氏の「道徳教室ルポ?」と興味が湧く。自分の生き方を他人の意見を取り入れて「みんなで」考えるという生き方の共同相互承認システムを小学生から教科として割り当てる事に成功した社会の底知れなさにしばし胸苦しくなった。「○○である自分を認識する」というメタ的な自認は常に俯瞰する誰かの視線を意識する思考法なので、ある程度の自我がまとまってからは面白い結果をもたらすかもしれないが低年齢から習慣化するのはどうかな。2022/07/07
けんとまん1007
54
ふむふむ、なるほどなるほど、そうだよなあ~と思いつつ、読み進めた。日常の中で眼にすること、耳にすることが多いのが「みんな」という言葉。それって、誰なの?あとは、道徳の授業に固執する人たちが、一番、道徳から外れたところにいるのかなと思う。道徳ではなく、同毒かと。2025/03/17