出版社内容情報
草野 たき[クサノタキ]
著・文・その他
内容説明
友達なし・目標なし・未来への希望なし。わんぱくな五歳児の弟・総也の面倒をひたすら見る―そんな海斗のジュウジツした日常が、突然乱されることに。保育園時代の幼なじみとの再会で、まさかの同窓会に発展!?大嫌いなあいつに、ばれてはいけない「ヒミツ」。総也をタテに、平穏な日々を守ろうとする海斗だが…。十四歳たちの今は、滑稽でちょっと残念だけれども愛おしい。笑って泣ける成長小説!
著者等紹介
草野たき[クサノタキ]
1970年神奈川県生まれ。実践女子短期大学卒業。99年『透きとおった糸をのばして』(講談社)で第40回講談社児童文学新人賞、01年児童文芸新人賞を受賞。07年『ハーフ』(ポプラ社)で日本児童文学者協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
81
YA。14歳のイクメンには理由がある。ヤングケアラーでは無い▽中学2年の海斗(かいと)は5歳の弟、総也(そうや)の保育園の朝夕の送迎をしている。放課後は公園に連れていき帰宅後は風呂に入れて絵本を数冊読み聞かせして寝かせつける。何故そこまで弟の面倒を見るのかと言うと、弟の世話を理由に部活も人間関係もせずに済むし、不眠症解消になるから。一流企業を退社し、パン職人になると言い出した父親に絶望し怒りを覚えた海斗は常にイライラしていた。弟に振り回されることで現実から逃げていた。保育園の同窓会として幼なじみが集まる。2022/07/31
信兵衛
27
草野たき作品、やはり凄いです、素晴らしい。 総也をダシにしながら総也に振り回されている海斗の姿も面白いのですが、保育園仲間の4人=健吾、彩音、倫太郎、ずっと不登校の斉藤七菜という顔ぶれが、また良い!2022/06/11
horihori【レビューがたまって追っつかない】
25
中学生の悩める日々と目覚めを描いた成長小説。父親の脱サラと5歳の弟の世話を言い訳に、受験や友達付き合い、夢から逃げていた海斗。幼馴染との再会をきっかけに、身勝手な脱サラと思っていた父親の心境を知り、正直に逃げた自分を認め、向き合い、成長する。中学生には少し優しすぎるかもしれないけれど、思春期の素直になれない頃の気持ちに寄り添っていると思う。2022/02/08
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
21
第48回 北海道指定図書 中学生 年の離れた弟総也(5歳)の面倒をひたすらみる、中学2年生の海斗。ヤングケアラーなことではなく、海斗自らが自分に課したこと。それは自分の人生から目を背けたかったから。けれど周りの友だちや親にいい影響をもらい、自分の道を探し進もうとする。思春期と反抗期が入り混じった多感な年代を上手く表現しています。2022/05/09
ヨシ
18
格好よくみせようとか、こんなふうにしたらバカにされるんじやないか…そんな気持ちは誰の心の中にもある。憧れのエリートの父が仕事を辞め、パン屋の修行のため家を出たことに納得できない海斗。サッカーをやめた中2病の健吾、不登校の七菜、エリート進学校で普通の人になった倫太郎、私立お嬢様学校をやめてダンスを学びたい彩音。プライドで素直になれない5人が、本当の自分と向き合うために足掻く姿に胸が熱くなる。七転八倒し右往左往して、掴んだ自分なりの答え。その答えが正しいかどうかは関係ない。自分が選んだことに意味があるのだ。2023/07/23