出版社内容情報
小野寺 史宜[オノデラフミノリ]
著・文・その他
内容説明
高校時代に父を亡くし、母は再婚して別の家庭にいる井川幹太は、やりたいことも見つからぬまま二十七歳になっていた。勤めていた会社を辞め、コンビニでアルバイトをしながら荒川沿いのアパートで暮らす静かな日々。だがある日、上の部屋に戸田という騒がしい男が引っ越してきて―。自分には何もないと思っていた青年が、失敗ばかりの隣人家族の温かさに触れ、「生活」の輝きを知る。明日への一歩が胸に迫る青春小説。
著者等紹介
小野寺史宜[オノデラフミノリ]
千葉県生まれ。2006年『裏へ走り蹴り込め』でオール讀物新人賞を受賞。2008年、『ROCKER』でポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。著書に、『ひと』(2019年本屋大賞2位)(祥伝社)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TAKA
86
小野寺さんは読後に爽快感があるな。淡々とした物語なのにスイスイ読めるし飽きさせない。幹太の性格もひじょーに良くて焦らないとこがまたいい。「人一人にできることは限られてるから仕事をするうえで大事なことは、大きなものを見すぎないこと」そうだもんな。遠くの親戚より近くの他人だなとそんなこと思った。食パンを焼かずに食べるのは同じだなあと。バターは塗るけどね。「足音、気を付けた方がいいですよ」はよく言った。2023/07/22
いたろう
84
江戸川区平井の筧ハイツとその周辺を舞台に、登場人物が重なる、平井シリーズ(?)。「まち」「いえ」は読んだが、本作は未読だった。本作の主人公は、「まち」「いえ」にも登場した、筧ハイツA102号室に住む井川幹太。この井川くん、会社を辞めて、近くのコンビニで働いているが、なかなかいい奴。他にも、筧ハイツの隣に住む大家さん夫婦、その隣の家で、親の転勤で1人で暮らす高校生の郡唯樹くん、喫茶「羽鳥」の羽鳥菊子さんなど、他の作品に出てきた人たちが出てくるのが楽しい。連作短編だが、筧ハイツが出てくる「縁」も読んでみたい。2022/07/10
itica
79
せっかく就職した会社を辞めてしまうのは良くある話だし、その後コンビニでアルバイトの日々を送るのも珍しいとは思わない。27歳の幹太はことさら焦ることもなく、淡々とした毎日を繰り返す。ひょんなことから知り合ったアパートの住民やご近所さんとの笑えるエピソード、しんみりしちゃう瞬間に、この作家さんらしさが出ているかな。人生には寄り道も必要さ、なんて分かったようなことを言ってはみたものの、幹太の未来が見えるような終わり方にほっとした面もある。あまり起伏が無く、多少物足りなかったかな。 2021/09/01
アッシュ姉
78
著者三冊目。装丁から癒される。やっぱりいいなあ。文章が好きというより醸し出す空気感がいい。楽に呼吸できる感じ。今回の舞台も平井の筧ハイツで『まち』に出てきた井川くんが主人公。ごくごく普通の青年の何気ない日常話なのだが、興味は尽きないし、心に残る台詞もたくさん。読後は鼻歌が自然と出ちゃうほど軽やかな気持ちになれる。つぎはどの著書を読もうと考えるだけで口角が上がってにっこり。2023/06/20
ひさか
66
2019年5月ポプラ社刊。書き下ろし。2021年7月ポプラ文庫化。大学卒業後2年勤めた製パン会社、1年経たずに辞めた家電量販店。今はコンビニのバイトを続ける27歳の幹太が、大学時代から住んでるワンルームマンションの生活で、お隣りや上階の住人、コンビニの同僚、お客さん、喫茶店の店主、母とその再婚相手との関係の中で、確かな人生を作って行く。どうというところのない小野寺さんお得意の話だが、生活から生まれる率直な思いが、面白く楽しかった。2021/10/05