出版社内容情報
村山 早紀[ムラヤマサキ]
著・文・その他
内容説明
時代の波に抗しきれず、「閉店が近いのでは?」と噂が飛び交う星野百貨店。エレベーターガール、新人コンシェルジュ、宝飾品売り場のフロアマネージャー、テナントのスタッフ、創業者の一族らが、それぞれの立場で街の人びとに愛されてきたデパートを守ろうと、今日も売り場に立ちつづける―。百貨店で働く人たちと館内に住むと噂される猫が織りなす、魔法のような物語!2018年本屋大賞ノミネート作品。
著者等紹介
村山早紀[ムラヤマサキ]
1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞。ほかに『桜風堂ものがたり』(2017年本屋大賞ノミネート)など著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bunmei
126
自分が幼少だった頃、休日におめかしして、街の百貨店に出かけるのは、我が家の一大イベント。素敵な商品、レストランでのお子様ランチ、屋上の遊園地等、昔懐かしい昭和の匂いが蘇ってくる一冊。しかし、今や不況の波にのまれ傾きかけている百貨店業界。そこに勤める様々な立場の百貨店員が品位を保った接遇を通して、昔から地元に愛されてきた『星野百貨店』を守っていくお話。物流としての百貨店の価値ではなく、人と人との関係性や互いを思いやることで成り立っていることを、店員達の生い立ちも含めた素敵なエピソードと共に綴られている。2021/07/27
SJW
121
「桜風堂ものがたり」で登場する星野百貨店の物語。百貨店が閉鎖されていく時代の流れの中で、「閉店するのでは?」という噂が流れるが、エレベーターガール、テナントの靴屋の店長、宝飾店売場のマネージャー、資料室のスタッフ、新人コンシェルジュたちがそれぞれなの持ち場で頑張り続ける。過去のエピソードが現在の暖かい話に繋がっていく展開や、星野百貨店を中心に縁が多くの人達を結びつける物語にほっこりとさせられた。2021/05/31
mayu
87
子供の頃、両親に連れられ百貨店に出かけ、屋上にあった遊園地で遊び、レストランで食事をする。そんな休日を楽しみにしていたことを懐かしく思い出した。風早の街にある星野百貨店も、地元の人に愛され、地元の人の思い出とともにある百貨店だ。そこで働く従業員もまた自分の働く店に誇りを持ち、愛している。時代は移り変わって、百貨店にとっては斜陽の時が来ても、人々の想いは変わらずに受け継がれている。ちょっと不思議な言い伝えとともに。ほんの少しの魔法でまた頑張れる。このあたたかな笑顔あふれる場所がこれからも続くといいなと思う。2021/10/31
dr2006
74
学生の頃ある百貨店で3年程バイトしていた。そのせいで深く感情移入した。百貨店業界は確かに斜陽で、地域の老舗は元より全国展開の大型店も次々閉店している。振り返れば、客として百貨店へ行くことが殆どなくなったことに気付く。一方、幼少の頃おもちゃ売場や屋上やレストランに抱いていた憧れだったり、働いていた店のバックヤードでの出来事や社員さん達との思い出が滲みだしてきて仕方がなかった。自分にとっての百貨店という素敵な存在を思い出させ、優しく心を温めてくれた。とても良かった。風早が舞台の他の作品も読みたい。2022/06/08
佐島楓
71
ひとは、過去を抱えながらも、それを乗り越えていまを生きていくしかないのだと思う。前向きに生きたいと願うひとの背中を押す「魔法」は、きっと誰でも使えるのだ、そんな気がした。2021/04/30
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