出版社内容情報
近藤薫美子さんの描く絵は「自然の中の生」への愛情がたっぷり。既刊『せかいかえるかいぎ』では、世界中のかえるたちがにぎやかに暮らす豊かな自然を楽しく描いています。本作は、愛する者の死をのりこえる心の冒険を情感豊かに描いた絵本。ひとつのいのちが終わっても、忘れずにいれば、共に生きる明日がそこにある。そして、豊かな自然はのこされて生きるものをやさしく包み、生きる力を与えてくれる。子どもたちにとっても、みぢかな人やペットなどの「死」に直面する場面があります。のこされて生きること、そして、かなしみの冒険の先にある希望を描いた絵本です。そして、それぞれの絵には「ひみつ」がかくされています。絵をさかさまにひっくりかえしてみると……?
内容説明
ここにいる、ずっとずっと。わすれないかぎり、いっしょに生きていることを感じる、こころのぼうけん。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どあら
38
図書館で借りて読了。絵にとても見入ってしまいました…。三輪車で走り続ける子の傍らには犬も一緒に走ってる…🐶2021/08/02
ヒラP@ehon.gohon
28
とにかく印象の強い作品です。 タイトルの「ぼうけん」は、作者がこの絵本を作成する行為そのものの事を言っているように思いました。 死んだ愛犬の面影を追いかけることは冒険ではないでしょう。 どうして三輪車なのでしょう? 「ぼく」は何歳? いろんな事を知っているからこそ、この世界があるのでしょう。 背景に描かれたキャンディといろいろな悲しみの隠し絵が、不気味でもあります。 こんなに打ちのめされているぼくが、やっとその死を受け止められるまでのお話です。2021/07/18
こゆ
19
久しぶりに小5に読み聞かせ。愛犬(?)のキャンディが死んだ。主人公は三輪車に乗ってどこかに向かう。擬音語以外の文字がほぼ出てこないお話なのに、全編を通して悲しさが漂う。途中から気づいた隠し絵のワンちゃんが可愛くて、息子は余計に悲しくなったよう。まるで絵画のような鉛筆画なのも良い。うちも今年ハムスターをお迎えしたから、数年後このような悲しみと向き合うのだろうな…。2025/03/25
なま
16
★4 キャンディ(犬)の死という事実。何ページにもわたるキャンディの気配とこぎ続ける三輪車の描写で深い悲しみが表現されている。悲しみの中にいると、どんな言葉も届かない事がある。そんな時に胸中にある悲しみを代弁するかのごとく並走する三輪車が胸を打つ。不必要な言葉はなく、キャンディの死を受け止められるまでの心理描写を冒険という形で描く。何の情報も無い中で、主人公とキャンディの関係性だけが確かなもの。3分半。2022/08/10
猿田彦
9
「きょうキャンディがしんだ」で始まり、ひたすらキャンディの後を追う。険しい山の中や滝、自分を傷めつけながら三輪車で走る、走る。やっと町が見える浜辺に着いたが波にさらわれるが、泡の一粒一粒にキャンディの顔が現れる。ラスト、去っていく三輪車の先に他の三輪車が見える。そして「きょうキャンディはしんだんだ」、新たな友達ができそうな予感で終わる。初回の読みでキャンディとは何者かわからなかった私だが、6歳の孫はよく見ていて教えてくれる。絵本のささやかな変化にも気が付くのは孫ばかりだ。2023/12/01
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