出版社内容情報
父を亡くし、母と二人暮らしをしている美月は、バレーボールに青春をかける中学3年生の女の子。自分には身寄りが母親しかいないのだと不安になることはあるけれど、部活の仲間たちや同じ団地に住む愛梨に囲まれて、ひとりの中学生として、幸せな毎日を送っている。
ある日、家で飼っているインコのピーコが逃げ出し、階下の独居老人・柴田のじいちゃんが住む部屋の窓辺に挟まっているのを発見する。じいちゃんに助けてもらおうと声をかけたとき、そこにいるはずのない女の子の気配を感じて……。
居所不明児童の問題を、中学生の少女の視点から描いた著者渾身の意欲作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
93
YA。中学2年生の美月(みづき)は部活のバレーボールに一生懸命。でも顧問の先生とうまくいかなかったり、思ったようにプレーできないことが悩みだった。そして春、新学期。新しい顧問の先生とのいい出会いがあり充実した生活を送る。同じ団地に住む愛梨(あいり)の部屋が火事になり、美月は落ち込む愛梨を励ます。小さな悩みはあるが、充実した中学生活と友情がある。一方で、美月の下の部屋に隠れ住んでいる少女がいた。施設から母親に連れ出され、部屋から一歩も出ることが許されない生活に、困窮した少女は意を決し美月に助けを求める。2021/03/11
ゆみねこ
92
良い本でした。バレーボール部で活動する14歳の美月が住んでいる団地で出会った一人の女の子。助けを待っている人に気付いてあげること、手を差しのべる勇気の大切さ。児童書ですが、大人にもお薦めです!2020/09/16
美紀ちゃん
85
居所不明児童→ 当該市町村に住民票はあるが、乳幼児健診が未受診等で、電話や家庭訪問等による連絡が取れない家庭に属する児童。市町村が引き続き所在及び安全の確認を行ったにもかかわらず、所在等が確認できない児童。 そんな女の子が、自分の住んでいる団地の下の階にいたら、助けてあげたくなる。何日も食べられず、お腹すいて辛いシーンがあり、かわいそうになった。2021/06/29
はる
72
爽やかな読後感です。主人公は中学3年生の少女。団地で母親と二人暮らし。なかなか進路を決められないでいる。そんなある日、下の階で1人で暮らしているはずの老人の部屋に、小さな女の子の姿を見つける…。思いのほか重い展開。考えさせられる。主人公の少女といっしょに「どうしたらいいの?」とハラハラしながら読んだ。つらい場面もあったが、まわりの人たちがみんな優しくて涙腺が緩む。人の温かさが心地良い物語。2020/11/22
モモ
60
中学2年の美月は背が低いながらもバレーボール部に入り頑張っている。ある日、団地で一人の少女と出会う。どうも小学校に行っていないようだ。そこからの日々が綴られている。父は仕事の過労で亡くなってしまい、母と二人暮らしの美月。部活では後輩とのレギュラー争い。そして見知らぬ少女の貧困問題。様々な困難があるが、八束さんらしい優しい感じで話が進んでいく。希望がもてる話で良かった。それにしても、インコ。祖母が話す桃太郎の話を覚え「ドンブラコッコ」と言うと「・・・スッコッコ」と言ってくれるインコが可愛かった。2020/10/23