出版社内容情報
「最高傑作」と呼ばれた絵画が引き割いた、二人の運命。アートミステリの傑作、ここに誕生。羽山健太は、就職先が決まらないまま大学を卒業してしまった。どうしたものかと思案していたところ、ふとした偶然で入った店の店主の南雲から「うちで働いてみないか」と誘いを受ける。「よろず美術探偵」という風変わりな看板を掲げたその店には、ガラクタといってもいいような品物がところ狭しと置かれている。健太はよくわからないまま、「業務中に就活してもOK」という店主の言葉に乗っかり、働き始めることに……。
そんなある日、店をスーツ姿の美女が訪れる。美術館に勤めているという女性は、奇妙な依頼を南雲にする。それは「村山光雄という画家が、生前『ショパンの心臓』と称した絵を探してほしい」というものだった--。
青谷 真未[アオヤマミ]
著・文・その他
内容説明
「あの絵は、俺にとって“ショパンの心臓”なのだ」世間から忘れ去られた画家がひっそりと息を引き取った。彼が遺した最高傑作と呼ばれる作品と謎の言葉「ショパンの心臓」。そこには、二つの国に引き裂かれた作家の苦悩が隠されていた…。傑作アートミステリ長編。
著者等紹介
青谷真未[アオヤマミ]
「花の魔女」で第2回ポプラ社小説新人賞・特別賞を受賞し、『鹿乃江さんの左手』と改題し同作品でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ポップノア♪@読書超絶停滞中
81
就職活動に失敗した健太は「よろず美術探偵」と言ういかにも怪しげな店でバイトすることに。暇を持て余す毎日だったが、無名の画家·故村山光雄が「ショパンの心臓」と称していた絵の捜索依頼を受ける。タイトル程の重厚感は無かったが、読み始めたら一気読み。画壇に属さなかった村山の悲しい過去を知り、健太同様、まだ見ぬ絵画に魅せられていく。「 転んでもまた立ち上がって走れば誰も笑わない」と言う依頼人·貴和子の言葉が印象的。最初は資料も読み飛ばしていたが、徐々に依頼に対して真剣に向き合う健太の成長も良かった。続編希望します。2020/07/09
かめりあうさぎ
33
初読み作家さん。題名から音楽ミステリかと思いきや美術ミステリ。謎の格の部分は面白かったです。謎解き場面も良かった。ただ、主人公のキャラ設定に無理がありすぎな気が。文章をまともに読めないのに大学生とか、就活しまくったのに挨拶すらできないとか。それはさておき、ショパンの心臓については知らなかったのでとても勉強になりました。自分でも色々調べてみたいなーと思いました。2019/02/08
よっち
30
就職先が決まらないまま大学を卒業してしまった羽山健太が、「よろず美術探偵」という風変わりな看板を掲げた店と店主・南雲に出会い働き始めるミステリ。健太は就活上手くいかないのも仕方ないと思うような空気読めない/活字読めないタイプで、そんな彼に美術館に勤める貴和子さんの絵を探す依頼を店主が丸投げした時にはびっくりしましたが、最初やらかしまくっていた健太にもそうなるだけの理由があったんですね…彼の成長とシリアスになってゆく展開の中で話をうまくまとめ上げていくところは流石で、読み応えがある話に仕上がっていました。 2019/02/06
アカミネ
23
主人公は就活に失敗三昧、大学生からフリーターになり彷徨う中よろず美術探偵に辿り着く。店長に見込まれ使用期間中初仕事として任されたのはショパンの心臓と言われた一枚の絵を探し出す事。正直見つかるまではつまらない展開で彼の調子に初々しさも苛立ちも感じながら取り敢えず終盤にあるだろう絵の話を期待したら、うん、よかったです。色々考えさせられて、色々シンクロして、色々深い気持ちになれました。絵は良いですね〜一生描こう!2021/08/29
coco夏ko10角
21
就職先が決まらないまま大学を卒業した健太、たまたま入った『よろず美術探偵』で働くことになりある日依頼が…。この主人公が五十社以上不採用になってしまうのもさもありなんなマナーの無さと性格で前半はなんだか。後半になると健太のことも絵画のことも明らかになっていきよかった。2021/08/27